わかるのは、お互いだけ。「あぁ、」
手に持った袋を見て、思わず頭垂れる。
「ミスっちゃった……」
彼からくるであろう小言を想像し、思わずため息が出た。
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彼。司くんと付き合うようになったのは、つい数週間前のことだ。
ハロウィンの頃からずっと好きで、つい目で追ったり、声をかけたりしてしまって。
でも言わずにそのままでいようとは、思っていた。
言ってもきっと、司くんを困らせるだけだから。
でもこうして付き合うようになったきっかけは、あの日。
フェニックスワンダーランド全体でショーを行った、あの日の後のことだった。
具体的に決まるまではいつも通りのショーをしようという話になって。いつも通り、最高のショーをして。
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