一郎くんは猫吸いがしたい!「一郎何やってんの!???」
俺の腕の中で吸われているふわふわの毛玉、もとい左馬刻さんがうんざりしたように「にゃあ」と鳴く。
-数時間前-
巷で子どもの誘拐が行われているらしい。
しかも真っ昼間に連続して何人も攫われているのに、その後の消息が掴めず目撃者もいない。
帳兄弟をぶっ倒した後もその残党が極悪非道に勤しんでいる。本当に今の世の中はクソをクソで煮詰めた世界だ。
「で?そのガキの誘拐事件と、猫泥棒になんの関係があるんだよ」
先に大盛りラーメンを食べ終わり、食後の一服をしている左馬刻さんの隣で俺はまだチャーハンをかき込んでいる。
「最近このあたりで、猫を追いかけまわして捕まえている不審者の情報をよく聞くんすけど、猫探しの依頼は萬屋には全然来ないんすよ。おかしくないっすか?その不審者はどこから来た猫を捕まえているのか。野良猫とかならわかるけど、もともとこの辺り猫そんなにいなかったし」
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