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    ネオン(どシコりシコ太郎)

    @neon_ug

    @neon_ug
    ここをFGOの帝都騎殺/龍以のえっちな作文とか絵とかを格納するキャンプ地とする🏕️すけべな人だけ通りなさい

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    帝都騎殺カルデア軸のエロマンス・コメディ!
    徹頭徹尾ハッピー元気な衆人環視ビジネス本気ックス&ちょっとのキュート・ラブ!!
    7/24ひらブー新刊予定の作文のプロローグ部分ラフです。完成した暁にはクリーンアップされたもう少しマシな文章でお届けいたします。多分…🫠

    借りたお金が返せないので彼氏と一緒にAV出演しちゃいます!(プロローグ)「なあ岡田くんキミ、そろそろ借金返してくれないかな」
    人理の存続を賭して抗戦を続けるノウム・カルデア、その生きた海の片隅のさらに片隅で。
    生前にも返しきれない程の金を拝借していた岡田以蔵は、突然自分の部屋に現れた貸主——高杉晋作その人の思わぬ督促に内心驚愕しながらも、努めて冷静を装いごく短く、返事をした。
    「…………はあ?」
    「カネだよ、お・か・ね。君、僕からどれだけ借りてるかもわかってないんじゃないの?」
    細く長い人差し指と親指で正円に近い形をつくり、まっすぐに伸ばされたままの残りの指をひらひらと振った男の、改造された長着の袖が揺れる。
    「はあ?? わやにすな、それっぱぁわあっちゅう」
    以蔵がもう一度、より不機嫌そうに眉を寄せて聞き返すと、取立屋はその感動詞を悠然と笑い飛ばした。
    「ハハハ借りてる奴の反応じゃないだろそれ!」
    「てんごう言いなや、昨日借りたばぁやき、無理じゃ無理」
    「冗談じゃあないぜ? 僕は本気だ」
    「……昨日の今日で返せるかよ」
    旗色の悪さを肌で感じ取った債務者がふいと目線を逸らす。
    「あれ? と言うことは、またギャンブル負けちゃったんだ?」
    「…………」
    「君も本当懲りないなハハハ!」
    「ほいたら、まあ、そういうこと」
    「で済むわけないだろ、岡田君。言ったぜ、僕は本気だって」
    細められていた眼が開き、覗いた紅瞳がぎろりと嫌な色に光る。
    「無い袖らぁ振れん、ち言いゆう」
    「そんなことは百も承知さ。もっと建設的に考えろよ、無いならどうする?」
    「は?」
    つくるんだよ」
    片側の口の端を器用に持ち上げて、高杉が先程よりも酷薄に笑うと同時に、部屋のドアがプシュン、と軽快に音を立てた。
    「待たせたね、高杉さん」
    現れた白い海軍服の男が部屋へ入るのを見届けると、高杉は不平を以て挨拶に代える。
    「遅いぞ坂本君。約束の時間は守れよ」
    「いやいや、君からの頼まれごとをこなして来たんだろ」
    「エラソーなヤツだな、リョーマ、殴るか?」
    やれやれと竦めた男の肩からぬるり、顔を覗かせた美女がふわふわと宙を舞いながら拳を握り、肩を回して高杉を威嚇する。
    「ダメだよお竜さん、高杉さんはね、まあこういう人なんだ」
    「なんだその悪意のある言い方!」
    「おまんらぁ! 人ん部屋で勝手に話を進めなや!!」
    全く見えない話に苛立った部屋の主人が声を荒げると一同は、はたとそちらに視線を投げた。
    「以蔵さん、また裏賭場に行ったのかい? 摘発されてマスターに怒られるよ」
    「おまんに関係なかろう! ちゅうか、なぁんで龍馬が来ゆうがよ」
    「僕が呼んだ」
    「はあ??」
    ゴールに辿り着く気配の無い、堂々巡りの問答に飽きた以蔵が今度は怒気を孕んで声を上げると、高杉はつかつかとベッドの上に腰掛ける男へ歩み寄り、その肩を三度、叩いて告げた。
    「さっきも言ったけど、返す金が無いならその身体で払ってもらおうって魂胆さ」
    「カラダぁ?」
    以蔵はその言葉を額面通りに受け取ると、ニヤリと外卑た笑みを浮かべ、すっかり浮ついた声色で応える。
    「なんじゃ、どこぞの女の相手でもすりゃあえいがか? それで金がもらえるらぁえい話やか!」
    「…………」
    「ハハハ! 相変わらず岡田くんはアレだな、僕がそんな美味しい話持ってくるわけないだろ」
    紅い髪の毛が笑い声に合わせてサラサラと揺れる。
    「君が抱くんじゃなくて、君が抱かれるんだよ」
    「……は?」
    低く落ち着いた声のトーン、悪魔も逃げ出すような深紅の瞳にじっと見つめられ、以蔵は目を丸くするとぴたりと動くのを止める。そこに、追い討ちをかけるように高杉が捲し立てた。
    「つまりね、君の——正確には君達の目合いを商売の道具にしようじゃないか、ということさ!」
    「…………は?」
    きみたちの、まぐわい。
    その言葉につい、以蔵が龍馬の顔色を盗み見ると、赤髪の商売人は喜色満面でその背をバンバンと叩く。
    「ああ大丈夫だ安心したまえ、君と坂本君がそういう仲だっていうのはもう知ってる」
    「……はあああああ?! どっ?! どういてそがぁ……どっ?!」
    以蔵は首巻きを摘んで口元まで引っ張り上げ、みるみるうちに赤く染まる頬を少しでも隠そうと奮闘する。
    「あんなのわかるに決まってるだろ、君達距離が近すぎるんだよ」
    「龍馬アアアア!!!!」
    「ええ、そうかなあ?」
    一方、名を呼ばれた男の方は白いパナマ帽に手をやると、まんざらでもないといった風体で困ったようにはにかんで見せる。
    「ムッ、お竜さんとリョーマの方が近いぞ」
    それを聞いた女が龍馬の首に腕を巻き付けて寄り添い不服そうに言うと、
    「君達は一心同体みたいなもんだろ。岡田君は他人だぞ、他人。あんな距離で話す他人なんて恋人以外に居ないぜ」
    高杉は辟易とした表情でぼやいた。
    「ん、話が逸れたな。本題に戻ろう」
    そして再び以蔵の方に向き直り、質問を投げかける。
    「岡田君、きみ、アダルトビデオってわかる?」
    「あだるとびでお」
    「現界したときに一応現代の知識は頭にインストールされてるはずだろ……あれだよアレ、動く春画!」
    「あー、前に立香が隠れて見ちょったのぉ」
    「それ。それを、君と坂本君で撮影して、僕が売る」
    「………………あ?」
    処理すべき情報が多過ぎて完全にフリーズしてしまった以蔵を放って、高杉は話を続ける。
    「なんでアダルトビデオかって? 丁度この前あの文学マニアの美人が管理してる図書室に行く機会があってね。そこで以前開催されたサバフェス? とやらで売買されていた同人誌というものを見て、正直ちょっと悔しかった」
    グッと握られた拳に力が入る。
    「面白いことやってるじゃあないか! 僕より面白いなんて許さないぞ! って。で、僕がそれを越えるものをつくってやろうじゃないかって思ってさ。二次元の静止画を越えるなら、三次元の動画だろ!」
    「いや、待て、ひとっちゃあわからん」
    先程までと打って変わって、ヒートアップする高杉の異様を以蔵が怪訝そうに眼差す。
    「わからなくてもいいさ、演者として身体を貸してくれればあとは優しい僕とちょっとアレな坂本君がなんとかする」
    「えいわけあるか! おい龍馬ぁ! おまんどういてこがぁこつ……」
    「いや、高杉さんのことだから言い出したら聞かないだろうし……」
    「まあそうだな」
    「やかましいわ!」
    「それにさ、そうなったら」
    龍馬がふわり、あまり人に見せない表情で笑む。
    「以蔵さんが他の人とするなんて嫌だから、引き受けた」
    「…………」
    「そういうの、他所でやってくれるか」
    「わしの部屋じゃボケぇ!」
    「ほらそれより岡田君、彼氏がそう言ってるんだから君も男らしく腹を括れよ」
    黙ったままの肩を肘で突いて債権者が揶揄うと、以蔵はまた顔を染めてベッドから立ち上がり、腰の刀に手をかけた。
    「知らんっ!! おまんら全員しゃんしゃん出てけッ!!」
    「まあ落ち着けって。ほら、岡田君がいま僕に借りているQPはこれだけ」
    どこから取り出したのかわからない電卓のボタンをパチパチと打って、高杉が以蔵の顔面へそれを突きつける。
    「う゛ッ」
    再び動きを止めたとんびの背後へお竜が回り込み、その液晶面をじっと見つめる。
    「リョーマ、これ数字が多くて数えられないぞ」
    「ええ以蔵さん、僕からも相当借りてるのに……」
    龍馬が報告を受けて苦笑いすると、高杉はその電卓を懐へ仕舞い込んで話を続けた。
    「岡田君がこの話を受けないなら僕はもう金を貸さないし、君が僕からこれだけの金を借りてるってことを全カルデア中に流布する」
    「ん? 別にかまんぞ、勝手にしいや」
    「いいの? 君、あまりにいろんなところでちょこちょこ小金借りてるだろう。僕にこんなに借りてるってバレたら焦げ付くのが嫌で、もう貸してくれるサーヴァントなんて居なくなるぜ」
    「…………」
    部屋に蔓延る、しばしの沈黙。
    「……ああ、坂本君だけは貸してくれるのかな?」
    高杉がわざとらしく軍服の男に視線を移せば、刺された本人は飄々とそれをいなした。
    「う〜んと、それはそれ、これはこれ、かなぁ?」
    「ハハハ、さすが商家の息子!」
    「そっ、そもそもっ、そがぁもんが売れるわけなかろ!!」
    話の矛先をなんとか変えようとして、以蔵が喚く。すると、発起人は狡い顔をして顎に手を当てた。
    「いや〜実はもう 売れてるんだな、これが」
    「はあ?!」
    「もう既に、“見たい“ってサーヴァントがQPを払う約束をしてくれてる」
    「ど、どういうことじゃ……」
    顔面蒼白になった債務者の、結った黒髪が不安そうに揺れる。
    「ここからは坂本君の話だろ?」
    言って高杉が小首を傾げると、龍馬は少しベッドへ近付いてから、口を開いた。
    「そうだね、僕から説明しようか。……以蔵さんには話してただろ、ちょっとカルデアここで商売をしてみたいって」
    「お、おん、??」
    「それでね、色んなサーヴァントに話を聞いてみた結果、やりたいことを発表して、それに賛同してくれた人から広く資金を集める仕組みのウェブサイトをつくってみたんだ」
    「???」
    「おっと坂本君、岡田君これもう何もわかってないぞ、具体例で説明してくれ」
    寝具に腰掛け、来客二人の顔を怪訝そうに見上げる部屋主の顔を確認し、高杉が助け舟を出す。
    「ええ? えーっと、例えばお竜さんにカルデア内でカエル養殖池をつくりたい! という夢があるとする。それを叶えるのに必要なQPは仮に五〇〇万QPだとしようか」
    「おお、名案すぎてお竜さん大歓喜」
    退屈そうに部屋を浮遊していた美女がくるり、白い海軍服に巻きつく。
    「お竜さんはこのウェブサイトを使って、その夢と必要なQPをみんなに発表する。その時に合わせて、この夢が叶ったときに応援してくれたサーヴァントへ返す『リターン《お礼》』も発表するんだ」
    「りたーん?」
    「そう、要はお礼ってことさ。五万QP払ってくれたサーヴァントには毎月カエル五匹、一〇〇万QP払ってくれたサーヴァントには毎月カエル一〇〇匹に加えてカエル養殖池の視察ツアーに参加できる、とかね」
    龍馬の説明をそこまで聞くと、お竜が興奮したように部屋の中を舞い始める。毎月なにもせずに手に入る蛙百匹、というのは彼女にとってかなり魅力的なリターンだったらしい。
    「で、その夢とお礼の品に共感したサーヴァントは、設定されたQPを発案者に支払う。そうやっていろんな支援者サーヴァントから集められる予定のQPが、必要な五〇〇万QPを越えた場合は無事に企画成立。実際にカエル養殖池をつくることができるって寸法さ」
    「坂本くーん、しつもーん!」
    声色を幼く彩って、高杉がビシッと片手を挙げる。
    「はいどうぞ、高杉さん」
    「必要なQPが集まらなかった場合は?」
    「そのときは企画不成立。カエル養殖池はつくらないし、サーヴァント達からQPを集めることもしない。どちらも特に損はしないんだ」
    講師がカラクリを解説すると、すぐさま台詞じみたトーンで合いの手が入れられた。
    「なるほど狡……よく考えられてるなぁ! というわけで、そのウェブサイト『Yoake』を使って君達のどすけべビデオをつくるプロジェクトを発表したんだけど、即日必要額の目処がついちゃったんだよな〜」
    「…………なんて?」
    膨大な情報量の説明と経緯を咀嚼しきれず、以蔵が眉間により深く皺を刻む。
    「ん? どすけべビデオ」
    「そこやのうて」
    「だーかーら、要はだな、君がこの出演オファー《申し出》を受け入れれば、僕への借金を完済できるんだぜ?」
    端的にまとめられた条件と対価に債務者の目がまんまるく見開かれ、矢庭に気色ばんだと思えば畳み掛けるようにその口から罵声が飛んだ。
    「あ?! てんごうも大概にしいや!! 誰が!! こいたぁと!! そがな撮影らぁするかよ!!」
    以蔵が人差し指をその名の通りに使って龍馬を示し、ひどい勢いでがなり立てる。その反応も予測済み、といった表情の高杉は、顔色ひとつ変えずに怒号に応じる。
    「別に断っても良いけど、他にどうやって借金返すつもりなんだ? そろそろ利息もつけちゃおうと思ってるけど」
    「う゛ッ」
    「坂本君だって愛しの君のために一肌どころか全部脱いでくれるって言ってるんだ」
    立ち位置を変え、今度は龍馬の肩をポン、と叩いた赤髪が不敵に笑った。
    「ほら岡田君、もう何が最善かわかっただろ。土佐者なんだ、男を見せろよ」
    部屋に一時、静寂が訪れる。
    その場に居る全員が、何も言わずに主演候補の返事はまだかと耳を澄ませる。
    「………………ぁーった……」
    「ん? なに?」
    「わーったやりゃあえいんじゃろ、やりゃあ!!」
    吼え立てる犬の如き剣幕を満額回答と受け取った細身の伊達男は、羽織の片袖をふわりと揺らしてぼん、と手を打った。
    「その意気やよし! 任せてくれ、視聴者オーディエンスを喜ばせる最強の布陣でこのアダルトビデオ、高杉晋作が完璧に完成させてみせる!」
    「…………」
    「…………」
    「おー、やってやれー!」
    幼馴染ふたりがそれぞれ食えない笑みと不機嫌なへの字に口を歪める一方。
    ひとり大見得の勢いに飲まれた宙を舞う美女の、疎らな拍手だけがしばらく、部屋に響いていた。

    ・・・・・

    カルデアの人間スタッフが使う、小さなミーティングルーム。窓もなければ置いてある調度もあまりにビジネスライクなその部屋に、監督の声が朗々と響く。
    「昨日の今日で参集いただき誠に恐悦至極——みたいな挨拶はさておき。坂本君に岡田君、やっと役者が揃ったんだ。早速打ち合わせといこうじゃないか」
    「おい高杉、……どいてこいたぁらがおるがよ」
    じとりと睨め付けた先、テーブルを挟んで龍馬と以蔵の向かいに笑顔で座すのは、千年の時を越えてなお器量衰えぬ才媛と、インターネットの海に溺れた麗しき城化物のふたりだった。
    「はいこれ」
    「答えろや」
    質問を無視して差し出された冊子の表紙は淡いコーラルピンク、ど真ん中に縦書きで記されているのは『借りたお金が返せないので彼氏と一緒にAV出演しちゃいます!』というタイトルと思しき文言。それを見た以蔵は珍しく叫ぶ気力も無いようで、片方のこめかみを手で押さえ、黙って俯いた。
    「光栄に思えよ、岡田君! 今回の台本はこちらにおわすお二方が寝る間も惜しんで書いてくれたんだぞ」
    「ぁあ?! なんな、これ」
    「アダルトビデオの台本」
    『台本』
    何か空恐ろしい気配を感じて表紙をめくれずにいる龍馬と以蔵が、短く声を揃える。
    「アダルトビデオって、要はセックスシーンががっつり入ってる芝居だからな。君達は演者、男優だと思ってしっかりと演技をする必要がある」
    赤髪の監督はデスクに肘をつき、顎に手を当てたままゆったりともう片方の指先で自分の台本の表紙を数度小突く。
    「そこで彼女たちの出番だ。脚本家の香子君、サブライターのお姫様、それぞれなにか演者に要望することは?」
    話を振られ、ようやくおずおずと口を開いたのは古の恋愛小説家、紫式部その人だった。
    「ええと、そのですね、こちらにある台本は元々私が執筆したものから大分ボリュームダウンしているというかスケールダウンしているというか……ではありますが、おふたりの! 甘い熱いさまざまな『情』! はしっかり残していますので!」
    胸の前で両手をきつく握りしめ熱弁をふるう女流作家の背をポンポンと、いささか呆れ気味に叩いた和装ロリータの似合うあざとい美少女——刑部姫が、それを補うように続ける。
    「先生の長編大作、クッソエモかったんだけどえっちなことしなくても成立しちゃうし朝の連続ドラマか〜? って感じだったから、大変僭越ながらその道の識者である姫がエッセンスを抽出してAVナイズさせていただいちゃいました〜♡」
    悪い顔でピースサインを口元に持っていく古めかしくあざとい仕草に、その向かいに座る幼馴染は同時に背筋に冷たいものを感じてちらり、互いを見遣る。
    「と、りあえず、内容を拝読しようかな?」
    「嫌な予感しかせん……高杉ィ、わしゃやっぱり降りるぜよ」
    座り心地の悪いパイプ椅子の背に手をかけ立ち上がろうとする以蔵に、高杉は余裕綽々の表情で言葉の鎖を投げかける。
    「無理無理、ちゃんと契約書も交わしただろ! 役者の自主都合の途中降板は損害金額を全額補償することでしか認められないからな。土台無理な話だぞ、それ」
    「ぅぐッ」
    見えぬ首輪を引かれた男はこれまでで最も苦々しい顔をして、舌打ちをすると顔を背けて再び同じ椅子に腰を落ち着けた。
    「ところで高杉くんと、脚本家のふたりに質問なんだけどいいかな?」
    「発言を許可する、どうぞ、坂本君」
    手を挙げた美丈夫を監督が鷹揚に指差すと、耳触りの良い落ち着いた声色が開いた台本に目を落としたままで質問を投げかけた。
    「これって、台詞も一言一句違わず覚えないとならないのかな?」
    「はあ?! わしにそがぁこつできるわけなかろ」
    側から聞こえた不穏な発言に、もう顰めることもできそうにない眉をさらに寄せて以蔵が不平をこぼす。
    「そうだと思ったから、それも含めてすでにかなり調整してるよ。君達はどういう設定なのかと、どういうセックスをするかだけ頭に入れておいてくれ」
    「プレイ?」
    「プレイの内容はアダルトビデオの売上に直結する重要要素なんだ。台本に書いてる通りのセックスをしてもらわないと、こればかりは困る」
    「アホか、言うたろう、そがなん覚えてられるかよ」
    ふい、とまたそっぽを向いた演者に向けて、監督は特段説得する気もなさそうに回答を告げた。
    「心配するな岡田君、今回は基本的に坂本君が主導だから、君はされたことに対してちゃんと喘いでくれればそれで大丈夫なようにしてある」
    「あ?! あえ……」
    「たまに部屋の前通ると君の喘ぎ声が煩いって、あの第六天魔王サマがぼやいてるぜ。つまりいつも通りでオーケーってことだ!」
    高杉が声高らかに宣ったその内容に、香子と姫は(あらあら)(まあまあ)なんて頬に手を当ててそれはそれは嬉しそうに、目前の痴話話へと耳を傾けている。当の本人は、寸刻一才の動きを止めた後やっと動くことを思い出したらしい。
    「……はあああああ?!」
    お得意の絶叫と合わせて、以蔵は勢いよく躊躇なく、隣に座る男の脛を蹴り飛ばした。
    「いたッ!! なんで僕のこと蹴るの?!」
    「おまんの所為じゃろ!!」
    「えぇ、うるさいのは以蔵さんの問題ぃたぁッ!!」
    相方のデリカシーに欠けた発言に、以蔵は首巻きで口元を隠すと渡された台本を会議机の上に置いたままするり、霊体化してその場を立ち去ったようだった。
    「…………カントクー、演者さんいなくなっちゃいましたけど」
    「どうしましょう?」
    残された女性陣が困ったように揃って首を振ると、プロデューサーを兼任する監督は動じずに悠然と笑った。
    「演者の調整はプロデューサーの役目らしいんだけど、まあ、僕は天才だからな、こうなるのは予測済みだ」
    「というと?」
    「さっき言った通り、坂本君さえちゃんと流れを理解して覚えておいてくれれば特に問題はない。このまま打ち合わせを続行しよう……ああ、でも香盤表スケジュールと台本は後でちゃんと届けておいてくれよ」
    目線で空席に置かれた書類たちと龍馬を交互に見て高杉が言う。そしてついでにもう一言、呆れたように付け加えた。
    「しかし坂本君、ほんとキミそういうところだぜ」
    「ですわね」
    「だよね〜」
    高杉と、その言葉に同調して深く頷く脚本家たちを何度も見渡した龍馬は、珍しく本当に真意がわからないというように目を丸くして帽子に手を置き、首を傾げた。
    「……えぇ??」


    [続]


    本当はまだ続くんだけどお酒を飲むので一旦ここまで置いておきます
    購入検討の参考になるかと言われたらならんかもしらん🤔すまん🤔すけべはちゃんといつもの感じのドロドロすけべ書くよ
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