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    non_foooooo

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    non_foooooo

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    鬼👹の🔥、九尾狐狸🦊の🎩、仙狸の👒
    家族や子を大事にする種族である鬼、嘘つき・悪食・悪癖の狐、精液を主食とする仙狸、不穏です。エール強め

    マロ主様のリクエストで「三角関係の兄ルとか、浮気してる👒とかちょっと不穏な感じの👒受け」

    #兄ル
    nicknameForTheElderBrother
    #エール
    yell
    #サボル
    sabol

    「ずいぶん遅いご帰還だな、エース」
    「てめェ……ルフィには近づくなと何度言えばわかる!」
     ルフィの待つ巣穴へと戻ったエースを迎えたのは、禍々しいオーラを放つ九尾狐理であるサボだった。
     エースの種族──鬼は、家族や子をとても大事にする。娶った妻ひとりを生涯愛し貫くのがあたりまえだった。だが、狐という種族は一夫多妻制で、身内に対しても情が薄い。エースは古くから狐という種族を信用していなかった。
     狐は息を吐くように嘘をつく。実際に狐にはエースもたびたび煮え湯を飲まされてきた。
     ルフィには何度も狐には心を許すなと言い聞かせたが、サボはいいやつだと言って聞かない。
    「知らねェな。そんなことよりお前……血生臭さすぎるぞ」
     ぐっとエースは言葉につまった。一秒でも惜しく、急くようにルフィのもとに帰ってきたものの、自分のなりがどんなものかサボに言われるまでもなくわかっている──ルフィには近づけない。エースはぎりりと奥歯を噛み、立ち尽くした。
    「エース……!」
    「……っ」
     巣穴から小さな毛玉が飛び出して、駆けてくる。エースの腕の中に飛び込んできたときには、毛玉は人の姿に化けていた。
    「……ルフィ」
     ルフィは眦に涙を浮かべ、エースに力任せに抱きついてくる。
    「……離れろよ、ルフィ」
     ルフィから目を背け低く告げるが、ルフィは何も答えずただふるふると首を振る。
    「おれは……、……っ」
     その先を告げることができず、言葉につまるエースの唇を、やわらかな感触が塞いだ。すぐに舌が唇を割って入ってくる。熱い体温に、無理やり閉じ込めていた感情が怒涛のようにあふれてくる。エースはきつく目蓋を閉じた。
    「……ん、ふ……ぅん……」
     ルフィは懸命にエースの舌に舌を絡め、唾液をすすり腹を満たそうとする。縋るような健気な仕草に、たまらなくなった。全身全霊で、己が必要だと云われているような気がするからだ。
    「……エースは、汚れてなんかねェ」
     荒い呼吸が互いの唇を濡らす。ルフィは息を押し殺し、エースの唇に──エースが欲しがっていた言葉を──直接吹き込むように告げた。
    「……ルフィ……ッ!」
    「んぅ……っ、んむ……っ、はぁ、ん……っ」
     たまらず華奢な体を掻き抱いた。背がしなり、ぴったりとエースの形に寄り添い重なる。それでも足りない。もっとルフィを強く深く感じたい。それでもエースは荒ぶる獣欲を抑え込み、小さな口腔をひたすらに貪った。
    「ん、ぅ、……ふぁ……ぁ……」
     ふたり分の唾液があふれてしまいそうになり、エースは隙間なく唇を塞いだ。直後、こくんとルフィののどが鳴る。すべて飲み干したことを確かめたあと、エースはようやく口づけを解いた。
     はふ、と小さな唇から満足そうな溜息がこぼれる。ゆっくりとルフィの目蓋が開き、泣き腫らしたかのように濡れた目が、一心にエースを見つめてくる。
    「エース……」
     ルフィは舌を伸ばし、戯れのようにエースの舌をちろちろと舐めた。
     ルフィは仙狸だ。仙狸は美男美女に化けて人間を騙し、その精気を吸うとされている猫の妖怪だ。ルフィはまだ幼く、擬態も完璧ではない。人里に下りたこともなく、人間の味をいまだに知らずにいる。
     生まれて間もなく親とはぐれ、息も絶え絶えだったルフィをエースが拾った。それ以来、精気はエースがわけてやっている。
     食事方法は種族によってさまざまで、鬼の主食は人間の血液だ。新鮮な生き血を吸って生き長らえる。そのためか、エースの精気でも十分にルフィの養分になるようだった。
     精気とは体液のことを指す。唾液でも多少は空腹が凌げるが、精液──要は仙狸は性交により腹を満たすのだ。
     人間の精気を主食とする種族はほかにもいる。そういった種族にとって人間との性交は、腹を満たすための食事という手段にすぎない。けれど、ルフィとともに過ごすようになり、エースの価値観は変わった。例え捕食対象である人間であっても、ルフィがほかの誰かと性交することを考えると、腸が煮えくり返りそうになる。想像するだけでも我慢がならないエースは、自らルフィに精液を与えていた。
     狐は雑食で、人間だけではなく妖怪まで喰らう悪食だ。そのため妖怪からも忌み嫌われている。また、ただ喰うだけではなく、喰うことを愉しむという悪癖がある。どんな姿にも化けることができ、何年、何十年と時間をかけて獲物から信頼を得て、十分に育った頃合をみて喰らうのだ。そのためにならどんな空腹にも耐えるのが狐だ。
     なぜサボがルフィに目をつけたのかはわからないが、ルフィをそんな目にあわせるわけにはいかない。
     サボはなぜかエースやルフィの前で正体を隠していないが、そんなことはエースにとって瑣末なことにすぎない。ルフィが、サボが狐であるとわかっていながら気を許していることが、エースは特段気に食わなかった。
    「……おれがいなきゃルフィは死んでた」
     深く激しくなる口吸いに邪魔が入り、エースは鋭く舌を打った。けれど、サボがいうことは正しい。
     一度でも人間の味を覚えれば、病みつきになるかもしれない。そう思えばルフィを人里にやる気も到底おきず、エースが人里に下りるときには、ルフィを結界に閉じ込めていた。その間、ルフィは食事を断たれることになる。
    「お前がどこへ行こうが勝手だが、それならルフィを閉じ込めるのはやめろ」
    「うるせェ! お前に何がわかる!」
     ルフィがどれほどつらい思いをしているか、エースとてわかっている。それでも、ルフィを人里に連れていくことも、ずっとそばにいてやることもできない。
    「──クソッ……!」
     ままならない感情が込みあげ、エースは咆哮した。
     ルフィは弱っていても、少なくとも人型になれるくらいには回復している──サボから、精気をわけてもらったのだ。どんなふうに口を吸いあったのかと思えば、嫉妬に狂い正気を失いそうになる。
    「ずいぶん契約が大事みてェだが……ルフィが死んでも構わねェのか?」
    「──あぁ……ルフィをほかの誰かに奪われるくらいなら……おれは……!」
     苦悩するエースに、サボは冷酷な眼差しを向けさらなる追い討ちをかける。
    「……エース、お前何人殺ってきた?」
    「……ってめェ! ルフィの前で……! 許さねェ!!」
     激しい怒気にエースの眼光が深紅に光り、ドンッとあたりを雷が落ちたような衝撃が襲う。次々と木々がなぎ倒され、あっという間にひとつの山が吹き飛んだ。
     しばらくののち、砂埃の中を九尾の影がゆらりと浮かびあがる。エースは舌を打った。
    「エース……」
     腕の中のルフィが身じろぎする。その口も耳も塞いでしまいたい。エースはルフィの体を強く抱きすくめた。
    「……おれだって清廉潔白なわけじゃねェ。だが、お前は殺りすぎだ」
     砂埃が晴れると、九つの尾を持つ真っ白な狐が姿を現した。嫌悪しているはずのエースでさえ、その姿には息を呑む。
    「お前ほどの鬼がなぜ人のいいなりになる」
    「……お前には関係ねェ。それ以上口を開くなら容赦しねェ」
     サボの妖力がどれほどのものかわかっている。本気で殺りあうなら相応の覚悟が必要となる。けれどエースは敗けるつもりも、退くつもりもなかった。
     サボに応えるように、エースも本来の姿を取り戻す。額が裂け、めきめきとツノが伸びる。それと同時に口元には鋭利な牙が生え、筋肉が増強して体が何倍にも大きく膨れあがった。
    「エース!」
     ルフィの名を呼ぶ声が、怒りに呑まれるエースの正気を繋ぐ。
     ルフィは本来のエースの姿を見ても、恐れることはない。そればかりか、引き離そうとするエースに必死で縋りついてくる。
     エースの力では仔猫など簡単に握り潰してしまう。加減は難しく、エースはルフィと出会ってはじめて、この力を煩わしいと感じた。
    「おれは聞きてェ……教えてくれよ、エース」
    「ルフィ……」
     離れまいと全身全霊でエースの首に掴まっていたルフィは、よじよじと肩に乗りあげエースの瞳を覗き込んでくる。
    「エース……人間が嫌いなのか?」
     エースの頬に触れ、ルフィは囁くように言った。ルフィは人間よりもずっとか弱い。けれどエースは、ルフィの瞳にまっすぐに見つめられると、術にでもかけられたかのように逆らうことができなくなる。
     ふたりは瞬きも惜しむように、じっと見つめあった。そうしていると、まるでルフィの気が流れ込んでくるようだ。
    「……そうじゃねェ」
     エースは弱った顔をして、ルフィから目を逸らした。ルフィはそんなエースの頬に頬ずりする。それだけではなく、人を傷つける牙にまで構わず手を伸ばしてくる。永劫のときを生きてきて、これほどまでに愛おしいと感じる存在を得るのは、はじめてのことだった。
    「……思い出せねェんだ」
     エースは毛ずくろいでもするようにルフィの耳や顔を舐めたあと、目蓋を伏せ言った。
    「ずいぶん昔に交わした契約だ。それがどんなものだったか……思い出せねェ……」
     そっとルフィの身を地につけ、エースは人型に戻った。ルフィは嬉しそうにエースに抱きついてくる。
    「前は構わなかった。おれは鬼だ。気まぐれに使役に応えるのは腹ごなしにちょうどよかった。だが、……今は──お前がいる。もし、お前に危害が及ぶようなことがあったら……そう思うと、おれは……」
    「エース……」
     ルフィは喜びとも悲しみともつかない顔をした。こんなふうに、ルフィを煩わせたくなかった。ルフィのそばを離れるたびに、いっそ術師を葬ってやりたいと考えたが、失うことを恐れるエースになす術はなかった。
    「最近になって使役も増えたんじゃねェのか」
    「……あぁ。呼ばれると、おれは逆らえねェ」
     そうして命じられるままに人を殺め、その血肉を喰らった。
     いつの間にか人型に戻っていたサボは、思案するような顔をする。
    「暗示じゃねェのか?」
    「暗示……?」
     その言葉に、はっとエースは息を呑んだ。その可能性を考えていなかった。
    「最近になって増えたのは、お前が犬になり下がったからだろう」
     サボの言い分は的を得ている気がした。そうであれば対処することができる。ルフィの身を案じるあまり、冷静を欠いていたことにようやく気づき、エースは目の覚める思いだった。
    「……エース、その暗示、おれが解いてやってもいいぞ」
    「……あぁ?」
     思案するエースに、サボは千年もの付き合いであるかのような親しげな笑みを浮かべ言った。
    「簡単なことだ。上位の暗示をかければいい。案ずるなよ、エース。おれがもっとも得意とする分野だ」
    「おれがお前を信用するわけねェだろうが、クソ狐」
     サボの言うとおり、嘘つきな狐はどんな妖怪よりも暗示を得意とする。けれど使役から戻ったばかりのエースが、サボを頼る道理はない。
    「サボ、お願いだ、エースの暗示、解いてくれ!」
    「ッ……、ルフィ!?」
    「エース、サボはいいやつだぞ! だから大丈夫だ!」
     ルフィは興奮したように、意気込み告げる。
    「……はぁ? お前は騙されてんだ!」
     苛苛とエースは声を荒らげた。エースの怒気を感じとり、ルフィの尾がぶわりと本能的な恐怖に膨れあがる。
    「騙されてなんかねェ!」
     ルフィはそれでも一歩も退かず、声を張る。
    「お前を喰うためだ! そのために優しくふるまってんのがわかんねェのか!」
     むっとルフィは眦を尖らせる。そんな反応がエースの怒りを増長させるとは気づかず、ルフィはサボへと向き直った。
    「サボ、おれのこと喰うのか?」
     サボはエースに向けるときとはまるで違う甘い笑みを浮かべ、一度姿を消すとルフィに触れられるほど近くに姿を現した。
    「おれがお前を喰うわけねェだろ、ルフィ」
    「サボもこう言ってる!」
    「あァ……?」
     ルフィはこれまでエースが大切に守ってきた。そのため外の世界のことを知らない。人や妖怪の悪意に、一度もさらされたことがないのだ。
    「サボ、なんて暗示かけるんだ?」
     曇りない眼差しを向けるルフィに、サボは優しげな笑みを浮かべ、ルフィの耳もとに顔を寄せる。仲睦まじい様子に、エースの額に青筋が立った。
    「ほんとか?!」
     サボが何事か囁くと、ルフィはぱっと大輪の花を咲かせるように笑う。その顔を見ると、エースの心は否応なしに安らぎを覚えてしまう。けれど、サボが引き出したものだと思えば、腹立たしくて仕方がない。
    「エース! サボにかけてもらおう!」
    「あぁ?!」
    「大丈夫だから!」
     サボに視線をやれば、尾をゆらしニヤニヤと嗤っている。何をどう見れば大丈夫だというのか。
     エース自身はひねくれているというのに、ルフィはあまりにも無垢で素直で、けれどそんなルフィに、エースは救われてきたのだ。
    「エース、おれのことなら信じてくれるだろ?」
    「それとこれとは……」
     ルフィの真の言葉にエースは弱い。けれど今回ばかりは折れることなどできない。ただでさえ暗示という助言を得たエースはサボに借りがある。これ以上サボに借りを作るくらいなら、舌を噛んで死んだほうがましだ。
    「エース……おれは、エースが苦しむ姿はもう見たくねェんだ……」
    「ルフィ……」
    「それがおれのためなら、なおさら嫌なんだ」
     せつなくルフィは告げる。そんなルフィを見ていると、ふいに体のどこかに痛みが走り、エースは顔をしかめた。こんなせつない痛みも、ルフィが教えてくれた。
    「なぁエース、結界なんてかけなくても、おれはどこにも行かねェ」
     甘えるような声に、エースは身動きひとつとれなくなる自分に気づいていた。
    「でも、エースの結界の中は好きだ。安心、すんだ」
     エースだけを見つめるルフィの目に涙が滲み、それはまるで睦言を交わすときのようで──エースはルフィに囚われる。
    「……おれのこと信じて……盃を交わして、兄弟にしてくれただろ?」
    「兄弟……」
    「早く……結界の中で、いつもみたいに、して……」
     ──そのときエースの中で、ルフィの存在がこれまでの何倍にも膨れあがった。

    ◇◆◇

     ふたりのやりとりを見ていたサボは、その手管にひどく感心していた。
    「すげェ深い催眠状態だ」
    「え?」
     サボが告げると、ルフィが顔をあげ振り返った。エースは虚ろで、ひと思いに殺せるくらい無防備な状態だった。
    「ルフィ、お前が暗示かけちまった」
    「おれが?」
    「あぁ。最初に暗示を意識させ、まずは相手を信じ込ませる。そのあとに暗示を続ける……」
     ぽかんとルフィはサボの顔を見る。くすりとサボは笑った。おそらくルフィは、本能的にそういった手管に富んでいるのだ。
    「エースとお前は本当の兄弟だ」
    「ほんとか?!」
     ルフィは飛びあがらんばかりの勢いで、愛らしい笑みを浮かべる。姿形だけではなく──ルフィは本当に美味そうな魂魄をしていると、サボは深い溜息をこぼした。
    「──おれとルフィも"本当の"兄弟だから……三兄弟になっちまったな」
     サボは独りごち、薄く笑った。


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    DONE鬼👹の🔥、九尾狐狸🦊の🎩、仙狸の👒
    家族や子を大事にする種族である鬼、嘘つき・悪食・悪癖の狐、精液を主食とする仙狸、不穏です。エール強め

    マロ主様のリクエストで「三角関係の兄ルとか、浮気してる👒とかちょっと不穏な感じの👒受け」
    「ずいぶん遅いご帰還だな、エース」
    「てめェ……ルフィには近づくなと何度言えばわかる!」
     ルフィの待つ巣穴へと戻ったエースを迎えたのは、禍々しいオーラを放つ九尾狐理であるサボだった。
     エースの種族──鬼は、家族や子をとても大事にする。娶った妻ひとりを生涯愛し貫くのがあたりまえだった。だが、狐という種族は一夫多妻制で、身内に対しても情が薄い。エースは古くから狐という種族を信用していなかった。
     狐は息を吐くように嘘をつく。実際に狐にはエースもたびたび煮え湯を飲まされてきた。
     ルフィには何度も狐には心を許すなと言い聞かせたが、サボはいいやつだと言って聞かない。
    「知らねェな。そんなことよりお前……血生臭さすぎるぞ」
     ぐっとエースは言葉につまった。一秒でも惜しく、急くようにルフィのもとに帰ってきたものの、自分のなりがどんなものかサボに言われるまでもなくわかっている──ルフィには近づけない。エースはぎりりと奥歯を噛み、立ち尽くした。
    「エース……!」
    「……っ」
     巣穴から小さな毛玉が飛び出して、駆けてくる。エースの腕の中に飛び込んできたときには、毛玉は人の姿に化けていた。
    「……ルフ 6132

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    DONE鬼👹の🔥、九尾狐狸🦊の🎩、仙狸の👒
    家族や子を大事にする種族である鬼、嘘つき・悪食・悪癖の狐、精液を主食とする仙狸、不穏です。エール強め

    マロ主様のリクエストで「三角関係の兄ルとか、浮気してる👒とかちょっと不穏な感じの👒受け」
    「ずいぶん遅いご帰還だな、エース」
    「てめェ……ルフィには近づくなと何度言えばわかる!」
     ルフィの待つ巣穴へと戻ったエースを迎えたのは、禍々しいオーラを放つ九尾狐理であるサボだった。
     エースの種族──鬼は、家族や子をとても大事にする。娶った妻ひとりを生涯愛し貫くのがあたりまえだった。だが、狐という種族は一夫多妻制で、身内に対しても情が薄い。エースは古くから狐という種族を信用していなかった。
     狐は息を吐くように嘘をつく。実際に狐にはエースもたびたび煮え湯を飲まされてきた。
     ルフィには何度も狐には心を許すなと言い聞かせたが、サボはいいやつだと言って聞かない。
    「知らねェな。そんなことよりお前……血生臭さすぎるぞ」
     ぐっとエースは言葉につまった。一秒でも惜しく、急くようにルフィのもとに帰ってきたものの、自分のなりがどんなものかサボに言われるまでもなくわかっている──ルフィには近づけない。エースはぎりりと奥歯を噛み、立ち尽くした。
    「エース……!」
    「……っ」
     巣穴から小さな毛玉が飛び出して、駆けてくる。エースの腕の中に飛び込んできたときには、毛玉は人の姿に化けていた。
    「……ルフ 6132