いたずらから始まる#
「つっかれた〜………」
寝る準備を済ませた俺は、ぼふんとベッドにダイブして脱力する。ここ数日のスケジュールはというと、ドラマの撮影、番宣、インタビュー、新曲のレコーディングなどなどそれはもう目まぐるしかった。それだけでも堪えるのに、恋人であるイチも地方でのロケで5日間は会っていない。予定では明日の朝には帰ってくるから、『やっと明日会える。踏ん張れ俺』と自分に言い聞かせて今日まで何とか乗り越えたのだ。けれど、疲れ切った身体はどうしても恋人の温もりを欲していて。
枕に顔を押し付けてなんとかしてこの気持ちを抑え込んで寝てしまおうとしたが、反対に俺の脳みそはちょっとした[いたずら]を思いつく。顔を上げないでガサガサと右手を動かし、ベッドの上に放って置いたスマホを探す。指先にこつりと当たったスマホを握り、ロックを解除しラビチャを開いた。
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