ドルパロ💥🥦夏の暑い日だった。
その日は猛暑日になるとテレビで気象予報士が告げていた通り、一歩外に出ただけで汗が吹き出すほどの暑さだった。
総合商社に勤める緑谷出久は、腕まくりした腕を掲げて日差しを仰いだ。照りつける太陽に眩暈がする。
高卒という学歴で今の会社に採用されたのは未だに奇跡だと出久は思う。営業部に配属され、会社への恩返しのつもりでがむしゃらに働いた。
入社三年目だが、同僚も後輩も大卒だから周りはみんな年上だ。高卒なのに。そんな目で見られた時期もあった。でも出久の分析力の高さと裏表のない優しい性格に、今では出久を悪く言う者は誰もいない。
「あっつ…」
滴り落ちる汗を腕で拭い、商談を終えた企業を後にした。
先程から眩暈が治らない。これは、マズイかも…
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