彼にナガレを任せる
のは不安だったけれど
どうやら正解
だったみたいだ
これから彼女は
少しずつ変わって
いくのだろう
最初の頃は別人の
ような変貌ぶりに
驚いていたっけ
そのきっかけが
彼だったという事実に、
一抹の寂しさを覚えた
仲の良いふたりを
見るたびに
彼女の隣に
いるのが私なら
と考えてしまう
これは、彼への嫌悪?
それとも嫉妬?
私にはそう思う
資格がないのに……
彼女は私を相棒だと
言ってくれたけど
塞ぎ込んでいる時の
ナガレは決して
目を合わせてくれない
私がそうさせて
しまった
暴力への恐怖で
疑心暗鬼に陥った
彼女の前で
沙明を殺して
しまった
ルゥアンで沙明を
助けたことに
後悔じみた感情を
覚えるたび
同時に罪悪感が
押し寄せる
彼がいなくては
ナガレを救けられない
ああ、どうして
あのとき沙明を殺して
しまったのだろう
踏みとどまっていたら、
私が彼女の隣に――
はあ やめよう
『私、セツみたいになりたい』
『セツは沙明の特別だから』
私は、沙明が
羨ましいよ
彼はナガレの
特別だから
一番になれない私には
遠くから彼女の幸福を
願うことしかできない
私の命を
救ってくれた君が
ここにいたいと
言うのなら
私はいつまでも
付き合おう
それが、私が君を
ループに巻き込んだ
責任――
いや。違う
私はただ、ナガレの
そばにいたいだけだ
ねえ、ナガレ
それくらいなら、
許してくれる?