とある暑い日のこと服装の乱れは気の乱れ。
軍人たるもの軍服を気崩すなどあってはならないことだが、こうも何日も暑い日が続くと襟元くらい緩めてしまいたくなる。
そんなことを思いながらハーマンは顎に伝う汗を片手で拭った。
しかし、それを許さないのは自分の立場。ここがまだ自分の執務室ならそれも可能だったかもしれないが本日は帝国軍と合同の屋外軍事演習であり、共和国軍だけでなく帝国軍の軍人たちがいる前で一応まがりなりにも大佐の地位にいる自分がだらけた姿を晒してはいけないであろう。まぁ、あの帝国の暑苦しい軍服よりはマシだろうと思って我慢するしかない。
早く終わらせて涼しい室内に戻りたい。燦々と煌めく太陽の光を憎たらしく思いながらプテラスに飛び乗り、開始の合図と共に空へ飛び立った。上空から見下ろせば並び立つアイアンコングの中、一機に目が留まる。
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