Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    tamasabu0311

    @tamasabu0311

    いつもありがとうございます!R18リスト限定の作品リスインご希望の方はリプください✨

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 52

    tamasabu0311

    ☆quiet follow

    ○ずっと前から 1
    煉炭の2人が、煉獄さんの一言から炭煉になる話です。
    最終的に炭煉に収まる2人ですが、この話の前まではじっくり煉炭してきた2人なのでご注意ください。

    #炭煉
    charcoalMaking
    #煉炭
    refinedCarbon

    「抱きたいと思ったことはあるか、炭治郎」

    煉獄からの問いかけに、炭治郎はぴたりと動きを止める。何を言われたか、一瞬判断に迷った。

    炭治郎は今、厚く、逞しい煉獄の胸の内に抱き締められている。いつものように煉獄家に泊まった炭治郎は、布団を敷いて2人で向かい合った。

    煉獄は目を合わせると、炭治郎を優しく引き寄せ、己の腕の中へと閉じ込めた。組んだ膝の上に炭治郎を乗せ、無防備なこめかみに口付けの雨を降らせる。その心地よい睦みは、煉獄と結ばれた日から、幾度となく重ねられていた。煉獄からの口付けは優しく、時に情熱的で、愛の深さを強く感じる。炭治郎はそれが好きであった。
    今日も腕の中で、そのあたたかさを感じ入っていたところ、唐突に言われた言葉が、はじめの言葉である。そのため、炭治郎は非常に返答に困ってしまった。

    「抱きたいかとは、俺の事ではない」

    応えの無い炭治郎を、煉獄はじっと見つめて言う。続く言葉に衝撃を受けた炭治郎は、何故、と震えながら伝えた。

    「俺は、煉獄さんをお慕い申しておりますから、決して他の誰かを抱こうと思いません」

    あまりの驚きに、反射的に目に膜がかかった。煉獄はその様子に、すまない、勘違いしないで欲しいと言いつつ、微笑みながら炭治郎の目を優しく拭う。溢れそうだった涙は、その慈しむような仕草に出る場を失った。

    「もちろん、炭治郎の気持ちは承知している。だが、俺は炭治郎を、まだ女を知らない少年を、手篭めにした」

    しんしんと降る雪の音は、煉獄の声を部屋の中に留め、響かせる。少しばかり後ろめたいのか、煉獄は雪の降り積もる外に面した障子へと目をやって、続けた。

    「君が俺を慕ってくれていて、俺に身を任せてくれた事が、とても嬉しい。性の如何を知らない君に、上官である俺からの言葉は、さも当然のように通っただろう。だから、君は俺に身体を預けた」
    「納得の上です」

    頬に置かれたままの煉獄の手に、そっと手を寄せ、炭治郎は返す。そのいじらしい様子に、顔を上げた煉獄と僅かばかり目線が合ったが、真には合わなかった。

    「君が愛おしい。俺に抱かれて感じている君は、とても可愛らしく、ずっと腕の中に閉じ込めておきたくなる。だが、肌を重ねるにつれ、君が女を知らず、俺のような男に抱かれてばかりいるのは、惜しい気がする」
    「そんなことありません。あなたに抱かれるのは、俺も嬉しいですから」

    煉獄は額を寄せながら、呟いた。炭治郎はもちろん、煉獄に抱かれることが、心から嬉しいから、煉獄の言葉をやんわりと否定する。愛しい男に愛されるのは、たとえ男同士でも、格別に嬉しいのだ。
    それがたとえ、性を深く知る前に、教えられた結果だとしても。

    「はじめから俺は君を抱くつもりでいた。君は抱く抱かれるも知らなかったから、俺に言われるまま動いた。細くまろい君を、まだ歳若い君を、抱いた」
    「…」
    「君には選択肢があったはずだ。俺と関係を持つ前に、もっと可憐な女性を愛すること、それを生業とする女性に頼ることも」
    「そんなことは、俺の本意じゃありません。あなたが許すなら、俺は他の女性を抱こうとは思いません」
    「…そうだろうな」

    苦しそうに眉を顰め、それでも誠実に煉獄を見てくる炭治郎に、ようやく目線を向ける。

    煉獄は、炭治郎がどれだけ自分を好いてくれているかを良く知っていた。だから、煉獄と夜を過ごす前に、もしくはその後にでも、女性と繋がるだろう道を残しておくこともしてやりたかった。
    だが、その隙を与えぬまま、愛されることを教えた。炭治郎が可愛らしく、愛おしかったから、自分を見つめていて欲しいと思った。

    「俺は炭治郎に抱かれることも出来た」

    炭治郎は、目を瞬かせた。煉獄はそのまま、緩やかに下を向いてしまったため、炭治郎の顔色が変わったことに気が付かずにいる。煉獄の口からは懺悔するかのように、つらつらと言葉が零れ落ちていく。

    「俺より幼い炭治郎のことを考えるならば、負担を考えて俺が抱かれるべきだった。だが、俺は自分の都合の良いようにして、それを口にせず避けた」
    「…煉獄、さん」
    「すまない、もちろん分かっている!無骨で、飯を炊くこともまともに出来ない、女のように柔いところも無く、自分より筋肉のついた男を、

    …君が抱きたいと思わないことくらい…」

    「…っ煉獄さん!」

    炭治郎の頬から離れ、心細く膝に落ちていた煉獄の手を、炭治郎はきつく握った。そしてそのままもう片方の手で、煉獄の肩を抱き、ぐいと無理やり炭治郎の方へ目を向けさせる。

    「…!」

    煉獄はその眼差しに、ぐっと息を飲んだ。
    あれほど優しく甘く、愛おしい、庇護すべき相手だと思っていた炭治郎の目が、まるで美しい虎のような、ぎらぎらとした男の瞳になっていたからだ。

    「煉獄さんは綺麗です」
    「…世辞をありがとう」
    「違います。俺の、正直な気持ちです」

    そう言って炭治郎は、腰を引きかけた煉獄に詰め寄った。なだらかな肩から鍛えられた肩甲骨の筋をなぞり、柳腰へと手をやる。煉獄は、いつの間にか自分の両脚が、詰め寄ってきた彼の膝に乗せられて居ることに気がついた。敷かれた布団が、2人の下で皺になっている。

    「知っていましたか、煉獄さん。俺は別に、あなたから求められた時、性について無知という訳ではありませんでした」
    「…!」
    「確かに若いうちに剣士となって、何か知っていたかと言われるとそうではないですが…でも、あなたに恋をして、あなたに想いを告げた時からずっと、あなたと添い遂げる覚悟があった。だから、それとなく知識を集めました」
    「…炭治郎…」

    炭治郎は、切々と煉獄に想いを吐く。炭治郎の手は、興奮しているためか、熱くじっとりとしている。煉獄は、彼に手首を掴まれ、腰をぐっと抱かれているのが、いつもと立ち位置が逆転しているようで、実に不思議でならなかった。
    炭治郎はさらに続ける。

    「だから、煉獄さんから共寝をしないかと求められて、まさかと思いました。思わず聞き返すくらい、すごく嬉しかったんです」
    「…俺も君から返事をもらって、嬉しかった!」

    少しだけ調子を取り戻した煉獄は、想いを馳せる炭治郎の言に笑みを見せる。掴まれて居ない方の手が、己の膝から炭治郎の肩にするりと寄った。その様子に、炭治郎も笑みを見せる。
    そして、意を決して想いを告げる。

    「俺は煉獄さんを、ずっと、抱きたいと思ってました」
    「…っ!」
    「あなたが好きで、共寝をしようと仰ってくださった時、真っ先に俺は、あなたを抱くことを考えていました」

    外はまだ、椿の花を隠すほどの雪が降っている。しかし、雪に耐えきれなくなったのか、椿の葉から雪がこぼれ、とさりと下に落ちる音がした。煉獄は、ぼんやりと紡がれる言の葉を噛み砕いていたが、やがて驚愕したかのように眼を開き、炭治郎から遠ざかろうとした。もちろん炭治郎は、両の手に力を込め、それを許さない。

    「嘘だ」
    「本当です。ごめんなさい」
    「謝らなくていい!…嘘を許そう」
    「嘘じゃないんです!」

    とうとう炭治郎は、煉獄の身体をぎゅっと抱きしめた。まだ体格差はあるが、鍛え続け伸びてきた炭治郎の身体は、肉体の全盛期を迎えた煉獄の身体に迫ってきている。

    「あなたが共寝をしたいと言ってくれて、俺を丁寧に抱いてくれたことは、とても嬉しいんです。あなたに抱かれるのも好きだ。でも、過ぎた快さに泣いて縋った時も、布団に寝そべって下から抱いてくれた時も、ずっとあなたを抱きたいと思っていました」

    煉獄が震えているのを、炭治郎はいとおしそうに撫でる。煉獄が震えているのが、怯えではなく不安が過ぎたからだということを知っているからだ。それほどまでに情を交わしてきた。煉獄に言い聞かすように、声をことさら優しくするよう努めているが、煉獄はかぶりを振る。

    「…信じがたい。」

    もたれかかる身体からは。戸惑いの匂いがする。とうとう炭治郎の肩に頭をあずけ、縋るように両の手を炭治郎の着物の袷に置く煉獄が、炭治郎はいじらしくてたまらなかった。
    煉獄の腰にやった手はそのままに、炭治郎は煉獄の金糸にもう片方の手をそっと当てると、形のいい頭を撫でた。傷んではいるが、指どおりが良く、炭治郎は褥で彼の髪を触るのが好きだった。…きっと、関係が変わっても、そうだろうと独り言ちる。

    「煉獄さん」

    炭治郎が呼ぶと、煉獄は炭治郎の腕の中で、そっとうかがうように彼を見つめた。飴玉のような、太陽を閉じ込めた瞳が、不安げに揺れている。艶めいたくちびるが、細く息を吐く様に、吸いつきたくなると炭治郎は思った。

    「もしよければ、あなたを抱いていいですか」

    煉獄は、そう言われるのを知っていたかのように、深く息をして、瞼を閉じた。闊達で豪快に見える彼は、その実ひどく繊細なところがあった。特に、人の心の機微に聡い。こう言われることを予測して、きっと返す言葉も思いついているはずだ。だが、その勇気が出ずにいる。それでも炭治郎は、ふたたび外の雪が重みを増して音を立てるまで、根気よく応えを待った。

    「…俺の、この身で、良いのならば」
    「はい、俺はあなたが良い」

    息を吐きながら、おっかな言う煉獄の言葉を待って、即座に返答をする。精悍な顔は悩まし気で、目元に紅を差したかのようにほのかに色づいているのが、炭治郎はとてもかわいらしく思った。

    おあつらえ向きに布団の上にいて、そのまま彼を抱きたい気持ちもある。しかし炭治郎は、鋼の自制心でそれを制し、煉獄を優しく布団に寝させた。布団をかけ、煉獄の横に滑り込む炭治郎に、煉獄は顔を上げて声をかける。

    「…今日は無理だ!」
    「大丈夫です!準備もあるでしょうし、俺は待てます」
    「…準備ができるまで、待っていてもらえるか?」
    「勿論です!」

    有難い。そう言って、ほっと溜息がこぼれた煉獄に、炭治郎は嬉しいと笑顔を見せた。喜色をたたえる可愛らしい微笑みを見て、煉獄もまた嬉しく思う。しかし、その微笑みに安らいだばかりの煉獄は、また息が止まるほどの衝撃を受けた。

    「あなたの準備は、一から手伝わせてください」
    「……よもや…」

    炭治郎は、昔煉獄にしてもらったことを、今度は彼にして上げられることに、殊更浮き立った。己の手に拓かれる煉獄は、さぞ美しいだろうと思うと、頬が緩んでしまう。
    一方布団に寝させられ、抱くことも出来ず抱かれることもできない煉獄は、燻ぶった想いを胸に、炭治郎の腕のなかへ思い切り体重を掛け飛び込んだ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭🙏💕💒💘🍑🍌💯👍👍💞💞💘💘💯☺👏👏👏💯💯💯💯😍❤❤❤❤❤❤❤❤❤💘💘💘😍😍😍❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works