想いの重さ(P飯) 何が起きているのか、男にはよく分からなかった。ただ、目の前にいるのは忌々しい仇敵であり、その仲間であるということだけは確かなことだ。彼らも己を敵として認識している。
そのはずだというのに、何故か目の前の面々は彼に親しげに声をかけ、落ち着けと、自分達は敵ではないと言ってくるのだ。理解の範疇を超えていた。或いは、新手の策略か何かかと思う。
男は、……ピッコロ大魔王の分身として生まれた存在は、誰かの仲間になった覚えなどなかった。世界の全ては彼にとって支配するべき何かで、立ち塞がる強者は倒すべき敵であった。特に、父たるピッコロ大魔王を討った孫悟空とその仲間は、仇敵でしかなかった。
不意に、大きな気が近づいてくるのを感じる。この上また、面倒なヤツが増えるのか。そんなことを思った男は、何故か、その近づいてくる大きな気に懐かしさのようなものを感じた。見知った何かであるように。
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