ホットミルク夜。
灰原は大層焦っていた。理由は、明日提出する宿題が終わらないため。
任務の合間に授業という、学生あるまじき生活のせいで、毎日疲れ果て寝落ちて、を繰り返すうちに提出物の存在をすっかり忘れていたのだ。
幸い残っていた課題は一つだけ。今からやればまだ間に合う!そう意気込んで白紙の用紙に向かったところで、灰原の手が止まった。
嫌な汗が額から流れ落ちるのを感じて、片眉を引くつかせながら手元の用紙を睨んだ。
提出課題の科目は古文。灰原が苦手意識を持つ課題の一つだった。
ああ…最悪だ…。
灰原の脳内には、未提出の課題があることと、その課題の提出日が明日であること以外に頭になかった。
だから、白紙の用紙を見るまでこの課題がなんの授業の時に言い渡されたものか気付けなかったのだ。
5707