褒め上手、褒められ上手「最近、ミスラの魔法が強くなってる気がするんだよね。」
「あぁ?そうか?」
柔らかな陽射しが降り注ぐ談話室に陣取り、オーエンはネロから強奪した生クリームを頬張った。時刻は3時のティータイム。窓辺をちらりと覗けば、西の国の魔法使い達がアフタヌーンティーを中庭で楽しんでいる。
視線を戻すと、偶々近くのソファで惰眠を貪っていたブラッドリーが怪訝そうな表情を浮かべていた。顔を合わせれば即戦闘、殺し合いへと発展してきた彼らにしては珍しく、殺意も敵意も身を潜めている。
「傷のせいで不眠になってからは、むしろ逆じゃねぇのか?」
「最初はそうだったけど、最近は違う。」
口元についたクリームをぺろりと舐め取り、オーエンは苛立ったように思案していた。
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