情報端末の受け渡し(fry)パーティー会場内で偶然居合わせて事情を話せば彼女は驚きながらも快諾してくれたので頬に手を添える。頭にハテナを浮かべた彼女の唇を奪った。固まる彼女の唇を割って舌を差し込み同時にマイクロ情報端末を口移しする。すぐ察したのかそれを上手く頬と奥歯の隙間へ寄せては絡ませてくる降谷の舌を素直に受け入れた。我ながらずるいのはわかっている。大切な情報の受け渡しの協力だけを頼んで、その方法を教えなかったのだから。本当はウエイターに扮した部下がグラス回収のときにその中へ情報端末を落として回収させる予定だったが手違いが発生してしまったのだ。名残惜しげに唇を解放して額を合わせて見つめ合う。目を細めれば少し頬を染めて目を逸らした。その仕草が男を煽ることに気付いた方が良い。会場外への扉の前へエスコートする。地下駐車場で待機する男に渡せば良い。降谷「お気を付けて」彼女は上手くやってくれたようだ。バーボンとして仕事をしなければならないのでまだこの場を離れられない。後から情報端末を受け取った部下に聞けば、ハンカチに包んで目の前でわざと落としたのを拾わせて回収させたらしい。そんな事は教えていないので彼女が配慮してやったことだろう。その部下が彼女の事を聞いてきたのですぐに察した。一目ぼれしたらしきその部下に釘を刺すべく、わざと見えるところで休憩中にテレビ電話で今日は泊まりに行くということをわざわざ伝えて彼女との仲を見せつけてやる。後で風見に教えられたのだが、一目ぼれ相手は上司の恋人だった、ということでその部下は他の仲間達から盛大に慰められたらしい。残念だったな。まあ、まだ恋人じゃないけど。意外にもテレビ電話でも出てくれるので、それから何かと手が空けば休憩室からテレビ電話でかけ続けると彼女は面白そうに「最近のマイブームですか?」とクスクス笑っている。降谷「キミがちゃんと生きているかの生存確認だよ」「貴方よりは社畜じゃありませんから!」思わず笑い声を上げると周囲の視線を感じたが、例の部下もいたので気にせず通話を続けた。降谷「たぶん、二日後にお邪魔するよ」「私はちょうどその日にお休みなので、いつでも大丈夫ですよ。お食事用意しましょうか?」降谷「うん。僕の好物を作って待っていてくれ」そのあと風見にそれとなく部下達が可哀想なので、と注意された。