犬も食わない その1ダミアン・デズモンドはアーニャ・フォージャーに意地悪だ。いつまで経っても顔を見れば悪態をつかれ揶揄われる。年頃になり、他の女の子達には紳士な一面も見せるようになったというのに、アーニャの事は揶揄ってばかりである。特に学年が上がるにつれ、それは顕著になった。
「おい、ちんちくりん。邪魔なんだよ。そこをどけよ。」
今だって同じ委員会の男子と話していると、わざわざ側までやって来てこんな事を言いだす始末だ。不機嫌な表情を隠しもせず、横柄な態度でアーニャに噛み付いてくるのだ。そのせいで一部の女子達……主にダミアンのファンである女の子達に、フォージャーさんはダミアン君に嫌われてるのよ、庶民だからね、と嘲笑を向けられている事をアーニャは知っている。オペレーション梟が完遂された後なので、別にダミアンに嫌われたところで痛くも痒くもない。……そうは思っても、理由はどうであれ悪意をぶつけられるのは不愉快だ。以前はトモダチだと言ってくれた時もあったのに。アーニャは唇を尖らせると、ダミアンから顔を背けた。
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