Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    asounanao

    @asounanao

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 1

    asounanao

    ☆quiet follow

    お誕生日リチャ正。SSやFBの内容にちょっとだけ触れています。
    テキスト載せられるの知らなかったのでちょっとお試しに。

    ##リチャ正

    頬をすべる指の感触に、微睡んでいた意識がゆっくりと浮上する。きのう銀色の天使をなぞっていたのと同じくらいか、それ以上に優しい手つきだ。目を開けてしまえば、きっとその手が止まってしまう。それが惜しくて、そのまま寝た振りをしていると、ふっと耳に吐息を吹き込まれた。びくりと跳ねた身体に、リチャードがくつりと笑った。
    「起こしてしまいましたね」
    「お前に起こされると、得した気分になるから嬉しいよ」
    リチャードの香りに包まれていると、つい寝坊してしまう。というより、隣のぬくもりを手放したくなくてベッドの中でぐずぐずしてしまうのが現状だ。
    「また、おかしなことを」
    頬を撫でていた手が、頭を撫でた。梳くほどの長さのない少し硬めの髪は、すぐにリチャードの指から逃げていく。
    「……きのうの話。優しさがサンタクロースになれるっていうやつ」
    「はい」
    「前に俺のところに来てくれたサンタも、優しさのかたまりだったなって思い出した」
    「……左様ですか」
    顔を上げてじっと見つめると、深い青とは微妙に視線が合わなかった。きっと、照れ隠しのようなものだろう。ふふっと笑いが込み上げてきた。溢れた幸せが、音になった感じだ。リチャードは、優しい。それは俺にだけではないけれど、俺に注がれる優しさは特別なものだと分かっている。分かるようになった。
    「ありがとう」
    どうしても伝えたくなってそう告げると、目の奥がじわりと熱くなった。むき出しの肩に額を預けると、本来のリチャードのにおいが濃く香る。
    「何です、突然」
    笑ったりぐずったり、忙しいですね、と。宥めるように背中を叩かれた。そうして、ごそごそと身動ぎしたかと思えば、同じ高さで、真正面から視線を絡め取られた。
    「私は、幸せですよ。あなたが居てくれるだけで、こんなにも」
    あなたがいないと、私は私でなくなってしまう。こうしてたくさん触れ合っていたから、もともと似通っていた魂の境界線が曖昧になってしまった。もう二度と切り離すことはできないでしょう。
    口説き文句なんて目じゃない、出来立てのカラメルのような熱と甘さの混じった言葉が惜しみなく注がれて、吐き出す息からも溢れてしまいそうで慌てて口を押さえた。
    「やっぱり、お前は俺のサンタで天使で、愛してる人だよ」
    なるべく音も息も洩らさないようにそう告げると、リチャードはきらきらとした何かをまといながら、きれいにきれいに笑った。
    「あなたほどではないですよ、正義」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    asounanao

    REHABILIお誕生日リチャ正。SSやFBの内容にちょっとだけ触れています。
    テキスト載せられるの知らなかったのでちょっとお試しに。
    頬をすべる指の感触に、微睡んでいた意識がゆっくりと浮上する。きのう銀色の天使をなぞっていたのと同じくらいか、それ以上に優しい手つきだ。目を開けてしまえば、きっとその手が止まってしまう。それが惜しくて、そのまま寝た振りをしていると、ふっと耳に吐息を吹き込まれた。びくりと跳ねた身体に、リチャードがくつりと笑った。
    「起こしてしまいましたね」
    「お前に起こされると、得した気分になるから嬉しいよ」
    リチャードの香りに包まれていると、つい寝坊してしまう。というより、隣のぬくもりを手放したくなくてベッドの中でぐずぐずしてしまうのが現状だ。
    「また、おかしなことを」
    頬を撫でていた手が、頭を撫でた。梳くほどの長さのない少し硬めの髪は、すぐにリチャードの指から逃げていく。
    「……きのうの話。優しさがサンタクロースになれるっていうやつ」
    「はい」
    「前に俺のところに来てくれたサンタも、優しさのかたまりだったなって思い出した」
    「……左様ですか」
    顔を上げてじっと見つめると、深い青とは微妙に視線が合わなかった。きっと、照れ隠しのようなものだろう。ふふっと笑いが込み上げてきた。溢れた幸せが、音になった感じだ 1021