おにいちゃん、ふたり 花がさいている、くさのしげみの中に、いい大きさの石がありました。
ハッサンはそれをとりだすと、じめんにおいて、足でえいっとけりました。
石は、かべの、ちょうどねらったところに当たって、こつんといっておちたので、ハッサンはガッツポーズをしました。
すると、「こらっ」というこえがきこえました。
見ると、こわいかおをした兵士がこちらにやってきます。
「なにをしている、ここはおしろの中だぞ」
そう言ってちかづいてくるへいしから、ハッサンは走ってにげましたが、すぐにおいつかれてしまいました。
「あぶないだろう、石をけりたいならよそでやれ。どこの子だ? かってにおしろに入っちゃいかん」
ハッサンは、はらをたてて言いました。
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