鴉取小話唸るような熱さ夏の日
コンビニに駆け込んでアイスを2本買った。
薄いサンダルはアスファルトの熱に耐えきれずにジワジワと皮膚に熱を与えている。
馬鹿みたいに陽の光を吸収する黒髪は、いくら手で拭っても拭っても皮膚に貼り付いて気持ちが悪い。
グラグラと揺れ始める視界。
歩きながら食べるようにもう一本買っておけばよかったな…と後悔した。
目的の建物に着いて大きく溜息をつく。
都心部から数十㎞離れており、最寄りのバス停から徒歩30分ほどにあるこのボロ平屋は
庭木は手入れされておらず、郵便物は郵便受けから溢れている。
「はじめさーん…生きてる…?」
ちょっと前までまともに生きていたはずの従兄弟は
突然継いだ神社を放棄し、何もかもを捨ててここに越してきた。
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