「せんせー! おかえり~」
まだ小さく見えるピンクの頭を揺らしながら、教え子が手を振って駆け寄って来る。健気で可愛い僕の想い人。そんな想い人から先月、義理という名のチョコレートを貰っていたので、僕のポケットには勿論お返しが入っていた。帰宅したら速攻悠仁の部屋に向かう予定が、まさかの出迎えに心が弾む。
「ただいま」
「さっき二年の先輩達と組手してたら、上達したって褒められたんだ」
「へ~、凄いじゃん。じゃあ今度僕が相手する時は一発くらい入れて貰えるのかな?」
猪の如く急突進してきた悠仁が目の前で立ち止まると、嬉しそうに話しながら、軽く頭を僕の方に向けた。撫でられ待ちの姿は無意識か、僕の日々の賜物か。可愛い悠仁に合法で触れる事の出来る僕の特権。
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