時短と愛は反比例時短と愛は反比例
母が死んで間もない頃、母の作る肉じゃがを食べたいと思い、家政婦に作らせたことがある。父が雇った完璧な家政婦は、一流の材料を使って完璧な肉じゃがを作ったのに、それは大寿が想像していた母の味ではなかった。それからも家政婦が代わるたびに肉じゃがを作らせたが、どれも記憶のなかにある母の肉じゃがの味とは程遠かった。
(何か隠し味が入っていたのかもな。)
歳を重ねるにつれて、もう一度肉じゃがを食べたいと言う気持ちも母の肉じゃがの味も、大寿の記憶の奥底に仕舞い込まれていった。
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ひっそりこっそり三ツ谷と仲良くなった大寿は、ときどき三ツ谷の買い出しに付き合うようになり、そのまま三ツ谷の家で夕飯をご馳走になることが増えていった。頼まれるたびに
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