「ははっ。随分ガンギマってますねぇ〜?」
「去ね」
「ちょっと! わざわざ飯買ってきてやったってのに、その言い草はないでしょうがよ」
徐々に近づいてくる足音にちらと目をやると、確かに、上着のポケットに突っ込まれた腕にガサガサとエコバッグがぶら下がっている。
「……そうですか、それはどうも。では、その手荷物を置いてとっとと帰ってください。今日は本当に構っている時間がありません」
パソコンの背景に見慣れた小豆色のニットがチラついても、画面から顔を上げたりはしなかった。カタカタと増えていく文字と画面右上に次々流れるメールのポップアップ。明日に回せるものは何もかも回して……って、待て待て朝イチの収録が今頃リスケだと? ……チッ、あのご老体とはあまり揉めたくありませんね。最短で殿下に空きが出来るのは……、明々後日の昼、は天気がまずい。仕方ありませんね。明後日の朝にねじ込みますか。
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