ドヨウドッキリユカイハン▲土曜ドッキリ愉快犯(裏)プロローグ
大事な話がある。
晶介はそう呼び出されたはずだった。
真剣に悩んでいる。
険しい顔でそんな事を溢す兄の姿に“これは何かとんでもない事態が起きているぞ”と覚悟もしていた。
とはいえ、つい先日まで頭を悩ませていたフェニックスワンダーランドの集客問題については、妹達の披露したトンデモワンダーな打開策によって状況が好転。今後の経営方針も決まり、現状特に大きな問題点はなかったはずである。
ならば尊敬する兄・慶介をこれほどまでに悩ませる問題とは一体何なのであろうか。
内心戦々恐々としながら会議室に入室すれば、まるでどこぞの特務機関総司令官のように両肘を立てて手を組む兄の姿が目に入り、晶介は思わずビビッと背筋を正した。口元が隠されたその表情は血を分けた弟でも正確には読み切れず、しかし瞳に宿る真剣な光から兄の本気度合いだけは疑いようもなく伝わってくる。
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