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    えんどう

    わんだしょとミュージカルが大好きな微腐のポンコツオタクです。

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    えんどう

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    鳳兄弟がダショにドッキリを仕掛ける話、の前半部分。最近文章上げてなさすぎるので途中経過を載せてみます。カプ要素はないはずなのに何故か類司に見える仕様です🎈🌟

    ドヨウドッキリユカイハン▲土曜ドッキリ愉快犯(裏)プロローグ


     大事な話がある。
     晶介はそう呼び出されたはずだった。

     真剣に悩んでいる。
     険しい顔でそんな事を溢す兄の姿に“これは何かとんでもない事態が起きているぞ”と覚悟もしていた。

     とはいえ、つい先日まで頭を悩ませていたフェニックスワンダーランドの集客問題については、妹達の披露したトンデモワンダーな打開策によって状況が好転。今後の経営方針も決まり、現状特に大きな問題点はなかったはずである。

     ならば尊敬する兄・慶介をこれほどまでに悩ませる問題とは一体何なのであろうか。

     内心戦々恐々としながら会議室に入室すれば、まるでどこぞの特務機関総司令官のように両肘を立てて手を組む兄の姿が目に入り、晶介は思わずビビッと背筋を正した。口元が隠されたその表情は血を分けた弟でも正確には読み切れず、しかし瞳に宿る真剣な光から兄の本気度合いだけは疑いようもなく伝わってくる。

    「……悪い兄貴、遅くなった」
    「あぁ、いや。急に呼び出したのはこちらだからな。気にするな、むしろ助かったぞ晶介」
    「それはまぁ、兄貴の頼みだし……」

     フイと視線を逸らして晶介はぼそぼそと呟く。責任ある多忙な立場にいる身ではあるが、兄からの相談となれば多少無理をしてでも時間を取るくらいの気概は持ち合わせているつもりだ。つまりどういう意味かといえば、この兄弟は一見冷淡に見えてその実めちゃくちゃに仲が良かった。

    「それで? 大事な話ってなんだ?」
    「うむ、それなんだが……」

     ゴクリと喉が鳴る。兄を悩ませる重大な問題。晶介を呼び出したからには鳳グループもしくは鳳家に関わる大切な話なのだろう。しかし一体どんな難関が待ち受けているというのか。重苦しい空気の中で晶介の背に鋭い緊張が走り……

    「ワンダーランズ×ショウタイムに、ドッキリを仕掛けようと思う」
    「…………パードン?」

     尊敬する兄が重々しく呟いたトンデモワンダーな一言に、晶介は思わず流暢な英語で聞き返したのだった。ちなみにだが後に晶介はこう証言している。「あの時はあまりにも意味がわからなすぎて兄が外国語を話しているのかと思った」と……。


    ***


    ▽動揺どっきり誘拐犯(表)1


     大事な打ち合わせがある。
     そう言って司達は呼び出されたはずだった。

     会議室では息が詰まるだろうから、鳳家の庭にある小さな茶室に招待しよう。なに、茶室と言ってもえむが幼い頃に秘密基地と呼んで遊んでいたような建物だ。気楽な気持ちで来てくれればいい。
     朗らかな顔でそう話した慶介の姿に“高校生の自分達に気を使ってくれたんだな”と安心していた。

     なのに

    「なんっっっだここは!!!!」

     通された“広くて美しくてなんかすごく高そうな料亭風の建物”で、司は思わず叫んでいた。隣では迷惑そうな顔で寧々が耳を塞ぎ、さらにその隣にはニコニコのワクワク顔でぴょんぴょん飛び跳ねるえむ、そして興味深そうにあたりをキョロキョロ見回す通常運転の類。つまりワンダーランズ×ショウタイムの人間メンバー大集合である。

    「庭の“小さな茶室”でしょ、多分」
    「小さい?!?! これが?!?!」
    「鳳家の広大な庭と比較すれば相対的には小さなサイズの建物と言えるんじゃないかな。ざっと見で計算した限りだと庭面積に対して茶室が占める割合は大体18%以下で……」
    「相対値がどうであろうとここは絶対的に小さくないからな?! というか、なんだここは!! 何故こうもやたらめったら壺やら掛け軸やらが至る所に置いてあるんだ!!」
    「えっとねー、たしかおじいちゃんのそのまたおじいちゃんがこういうの集めるの大好きだったんだって! えへへ懐かしいなぁ、あたしね昔ここの壺でよく魔女っ子ごっことかしてたんだよ〜」
    「こんな高そうなしかも和風の壺でか?!?!」

     よく晴れた穏やかな土曜日。恐ろしく広い鳳邸の庭の片隅で、格式高い茶室からでっかいデシベルの叫び声が絶好調に響き渡る。本日もワンダショメンバーは平和で仲良しであり、思い思いの個性を大爆発させていた。

    「うわ、なにこれ。この掛軸も花瓶も美術の教科書で似たようなの見たことある気がする……なんかすごく高そうっていうか……」
    「そうだね。僕はこういった類の美術品にはあまり詳しくないのだけど、どれもかなり貴重なものに見えるよ。残念だな、ネネロボがいれば鑑定機能でより詳細な価値を調べられたんだけど……」
    「なにぃ?! ネネロボの奴、そんな機能まであるのか?!」
    「フフ、この前の定期メンテナンスで少しアップデートをね」
    「ちょっと類、聞いてないんだけど」
    「おや、そうだったかな?」

     にこやかにすっとぼける類をジト目で睨みながら寧々は決心する。ネネロボの次の定期メンテナンスは絶対に類任せにせず自分も立ち会おうと。このままでは大事なネネロボに新機能という名の魔改造が次々施されてしまう。
     ちなみにネネロボは鳳家入口までは一緒に連れてきていたのだが、新人らしき警備員に怪しまれて没収(警備室での一時預かり)となってしまったためこの場にはいない。まぁ何も知らない人間からすればアイツ中々に怪しいし怖いよな、とは過去ネネロボとの初対面時に同様の恐怖?経験を持つ司の言である。

    「とにかく! 茶室の中にあるモノには無闇に触らない方がよいということだな。みな、くれぐれも気をつけるように!」
    「こっちの台詞なんだけど。あんたこそ重々気をつけてよね」
    「なにぃ?! オレがそんな軽率なことするはずないだろう!」
    「どうだか」
    「大丈夫だよ司くん寧々ちゃん! ここにあるのは高くないのばっかりだからうっかり壊しちゃっても平気だよ〜!」
    「……あ、うん。ありがとえむ、気をつけるね(絶対触らないようにしとこ)」
    「……懸命な判断だと思うぞ、寧々(この茶室を“小さい”などとのたまう鳳家の“高くない”はイマイチ信用ならんからな)」
    「ほぇ?」
    「フフ、興味深いね。この襖絵なんて初期琳派の表現手法が用いられているじゃないか。この色はどうやって出しているのかな。趣がありつつ鮮やかで光沢もあるからステージ映えしそうだ。何を染料に使用しているのか少し分析を……」
    「「類!!!!」」

     爛々と目を輝かせて襖絵に手を伸ばす類を見た瞬間、司と寧々はくわっっっと叫んだ。つい先程「かなり貴重なものに見えるよ」とか自分で言っておきながら、しかも数秒前に司と寧々が注意したばかりだというのに一体何を考えているのか! ショーか、ショーのことしか考えてないのか。たしかに類の視線の先にはワンダーステージの背景に使えたらさぞかし素敵になりそうな色合いの作品があるが、だからといって類の蛮行を許すわけにはいかなかった。司も寧々もショーバカだが、モラルまで捨て去るつもりはないのだ。

    「いいか類、茶室のものには触るな。それからこの中では絶対に変な実験だの爆発だのするなよ?! オレはまだ弁償借金地獄になど落ちたくはない!!」
    「おや、その言い方、司くんは僕を見捨てず連帯保証人にでもなってくれるつもりなのかい? フフ、嬉しいけど大げさだね。いくら僕でもそんなこと……」
    「類、今すぐ手持ちの工具と火薬出して。鳳家入口の荷物検査でネネロボと一緒にほとんど没収されてたみたいだけど、どうせどこかに隠し持ってるんでしょ」

     ピシリ。その瞬間、司を誤魔化し……もとい、宥めにかかっていた類の柔和な笑顔が一瞬引きつった。

    「…………。なんのことかな寧々?」
    「はいクロ。カマかけだったけど、やっぱり隠し持ってた」
    「なんだと?! くっ、類を甘く見すぎていたか……恩に着るぞ、寧々」
    「別に。わたしも余計な面倒抱えたくないだけだし」
    「さぁ類! 今出せ早く出せ全部出せ!!」
    「類、出して」
    「そんな……僕を疑うなんて二人とも酷いよ。隠し持つだなんて僕はそんな真似……」
    「靴下の中、それからパンツ内側の隠しポケット」
    「ひどいよ寧々!!!!」
    「よぉーーーし全部見せてもらうぞーーー!!」
    「あぁぁぁぁ」
    「寧々ちゃんすごーい! 類くんのこと何でもお見通しなんだね!」
    「まぁ幼馴染だし……小学生の時から類の隠し場所なんて変わってないから。小さい時の恥ずかしいエピソードだっていっぱい知ってるよ」
    「わぁ〜いいなぁ〜! あたしも、みんなと二人みたいな関係になりたいなぁ」
    「別に、もうほとんどそんな感じでしょ。毎日こんなに一緒にいるんだし……その、ショーで失敗した恥ずかしい姿だって、お互いたくさん見せあってるんだから……」
    「! えへへ、寧々ちゃんだいすきっ!」
    「っ、だ、だからいきなり飛びつかないでってば……」

     きゃっきゃと喜ぶえむに少しばかり赤面しながら、それでも嬉しそうに寧々は小さくはにかんで笑う。その横では司がジタバタと子供のように暴れる180cmを押さえつけ、靴下やら衣服をひん剥いては怪しげな隠しアイテムを探し出し取り上げていく。彼等が到着して数分。そんなわずかな間で格式高い茶室はすっかりドタバタカオス空間へと変貌していた。

    「はぁ…はぁ……さすが寧々だな、何やら怪しいボールらしきものと謎のコントローラーが出てきたぞ」
    「よよよ……酷いよ司くん、これでは追い剥ぎだよ……」
    「いいから類は早く服着て」
    「わぁ〜なにこれすっごくおもしろそ〜! 類くん類くんこの黒いボールはなぁに?」
    「えむくん、よくぞ聞いてくれたね。それはイカ墨を濃縮して少々の火薬とブレンドした特製カプセルでね、対象に投げつける事で小規模爆発を発生させ半径2m範囲を真っ黒に染め上げることができるんだ。ま、軽い目潰しのようなものかな」
    「(爆発しといて軽い……?)」
    「(ていうか何でイカ墨……)」
    「すごいすごーい!! じゃあじゃあ類くんこっちは?!」
    「フフ、このコントローラーはもっと面白いよ。神代家の屋根上に待機させている特殊ドローンとGPS連動で繋がっていてね、スイッチを入れるとすぐにコントローラーの位置を特定してドローンが駆けつけるんだ。さらにこの画面で座標指定をすれば……」
    「すれば?」
    「ピンポイントで雷を落とせる」
    「わんだほーーーい!!」
    「「二つとも没収!!!!」」

     瞬間、司と寧々は即座に隠しアイテムを二人の手から奪い取った。ウキウキのワクワク顔で“今試そうすぐ試そう”と言わんばかりの好奇心組に、最低最悪の未来を感じとったからだ。脳内の危険信号が止まらない。

    「寧々、コントローラーは任せた。イカ墨爆弾の方はオレが持っておく」
    「わかった」
    「そんな……僕はただ護身用としてほんの少し備えていただけなのに……」
    「いや全然“ほんの少し”じゃないし」
    「どちらも命の危険はないよ?」
    「当たり前だろうが!! はぁ……それにしたって護身グッズで雷と爆発だなんて危険すぎるだろう。一体なにから身を守るつもりなんだお前は」
    「なにってそれはもちろん凶悪犯さ。えむくんの家はなかなかに有名だし、いつ国内外の凄腕凶悪犯に襲われるかわからないだろう?」
    「「え……」」
    「ほぇ……?!」

     その瞬間、司も寧々も(ついでにえむも)思わずハッとさせられる。そうだ、(本人自身も含め)皆うっかり忘れがちだが鳳といえば非常に有名かつお金持ちの家柄。たしかにそういった危険が無いとも言い切れない。

    「鳳家の中でえむくんは最年少でしかも小柄な体型だからね。身代金目当てに誘拐する場合、最も狙われやすい存在だと思う。実際もし僕が犯罪者の立場なら、まず確実に人質にはえむくんを選ぶだろうね。さらに言えば、えむくんに近しい場所にいる僕達へも危害が及ぶ可能性だって否定できない。僕達の命や安全を担保にされれば、えむくんの性格的にどんな凶悪犯へも従ってしまうことは誰の目にも明らかだ」

     淡々と、しかし真剣に類は語る。得難いものを得た自覚のある彼だからこそ、失うことへの危機管理は誰よりも人一倍強かった。

    「だからネネロボには不審者警戒モードに加え、人質救出モード、凶悪犯殲滅モード、その他必要と思われる機能を随時追加しているんだ。それと並行して今回のようにネネロボが機能できない状況下に追い込まれた場合に備えて護身グッズの開発もしているというわけさ。今はまだグリズリー程度までしか対応できない出力なんだけど、いずれは小型恐竜を安全に倒せるレベルの完成度を目指しているよ。大切な仲間を万が一にも危険になんて晒すわけにはいかないからね」
    「類……」「類くん……」

     仲間を守るためにできる最善を尽くそうと頑張る類の姿に、三人の目頭が思わず熱くなる。色々とツッコミ所満載のトンデモデンジャーな発言だったが、普段のアレソレから神代類耐性が必要以上についている(プラス、何だかんだ言いつつ例え悪人相手だろうと類が他者を必要以上に傷つけたりしないとわかっている)三人はそんな事とんと気にしない。それより何よりあの類が見せた仲間への熱き思いに感動していたのだ。茶室内の空気はもはや感動ドキュメンタリードラマのクライマックスだ。

    「類、お前……一人でそんな事を考えていたのだな。どうやらオレはお前を誤解していたようだ。先程は怒鳴ってしまって悪かった」
    「司くん……。いや、僕こそアイテムの説明にばかり気を取られて最も大切な本来の目的を話しそびれてしまっていたからね。それでも僕を信じてくれて嬉しいよ」
    「何を言ってるんだ! 類の言葉ならオレは信じるに決まっているだろう!!」
    「司くんっ……! 僕も……僕も司くんの言葉はきっと信じるよ!!」
    「類!!!!」
    「司くん!!!!」
    「わぁ〜〜〜パチパチパチ〜〜〜」
    「…………なにこれ」

     ガシッと手を握り、それから熱く抱擁を始める類と司。感動の拍手を贈るえむと、一応手は叩きつつしっかりツッコミも入れる寧々。言うまでもないが茶番である。場に流れる感動ドキュメンタリーの空気を嗅ぎ取った類と司がその場でおふざけのエチュード(即興劇)を始めたのだ。実に男子高校生らしい悪ふざけである。

    「……とまぁこの話はこのへんにしておいて」
    「む、類。せっかく良い雰囲気だったのにもう止めてしまうのか?」

     抱擁を解除しさっさとエチュードを終わらせようとする類に対し、司はしごく残念そうなしょんぼり顔で不満をこぼす。司としては自身の華麗なるアドリブ芝居によって、このエチュードをさらなる感動のハッピーエンドへ導こうと目論んでいたのだ。

    「フフ、それは非常に魅力的なお誘いだけどまた今度時間のある時にじっくりお願いしようかな。そろそろ慶介さんや晶介さんとの約束の時間だから僕らもお利口さんで待つべきかと思ってね」
    「あ、ほんとだ。もうこんな時間」
    「みんなでいるとあっという間に時間がすぎちゃうねっ!」
    「ふむ、ならば仕方ないな。たしかに大人しく待つべきだ。だが類の話は非常にためになったぞ! 今後はショーに全力を注ぎつつ、各自しっかりと防犯対策にも取り組むこととしよう。特にえむと寧々は重々気をつけるんだぞ!」
    「は〜い!」「はいはい……」
    「そうだね、例えば今この瞬間にもえむくんを狙った凶悪犯が潜んでいるかもしれないし」
    「えぇ?! そ、そうなの?!」
    「ちょっと類、えむを脅かさないでよ」
    「フフ、例えだよ例え。いくら防犯対策が大事とはいえ、ここはセキュリティのしっかりした鳳家だしそんなこと起こらないに決まってるだろう」
    「それもそうだな。さすがにこの茶室の外にえむを狙った凶悪犯がいるなんてありえんだろう、ハーッハッハッハ!」

     ガラッ

     その発言こそが盛大なフラグになっているとはつゆ知らず、フフフはははと笑う類と司のすぐ後ろ。その瞬間、素敵な彫刻の施された高級障子戸が恐ろしく乱暴な勢いで開け放たれた。

    「手ヲ上ゲロ!!!!」

     現れたのは屈強そうな外国人らしき男。いかにも武闘派という筋骨隆々の肉体にアサルトライフルを構えたその姿はまさしく、誰もが一目でわかる“凶悪犯”そのもの。強面の顔をさらに醜く歪ませギラつかせながら男はニタリと凶悪に嗤ってみせる。

    「命ガ惜シケレバ、大人シク鳳えむヲ渡セ!!!!」
    「っ……逃げろ!!!!」

     司が鋭く叫び、ついでガンガンガンと頭に響くような音を立てて鋭い銃撃が四人を襲う。


     悪夢のような土曜日の始まりであった。


    ***


    ▲土曜ドッキリ愉快犯(裏)1


     カツンカツンカツンカツン……
     人気のない静かな廊下に革靴の高い靴音が鳴り響く。ブランドもののスーツをバリッと着こなした晶介は、とある場所を目指してゆっくりと歩みを進めていた。少し気怠げにも見えるいつも通りのポーカーフェイスを貫く彼だが、強く握った拳に滲み出る若干の緊張は隠せない。やがて彼は広大な鳳邸の隅、とある一室の前で足を止める。すぅ、と一度深呼吸をして扉を開ければ、そこは異次元の空間だった。

    「お、来たな晶介。時間ぴったりだ」
    「兄貴……」
    「見てみろ、ワンダーランズ×ショウタイムの面々も予定通り例の茶室に到着したようだぞ」
    「なぁ兄貴……ここは一体……」
    「見ればわかるだろう?」

     ふ、と口元を上げて不敵に笑う慶介、それからいつもと様変わりしたその部屋。表情にこそ出していないが、晶介も思わずソワリと胸を高鳴らせる。

    「作戦指令本部、またの名をモニタリングルームだ」
    「すげ……」

     ここは鳳邸の中でも比較的庭の茶室にほど近い位置にあるゲストルーム。普段置かれている高級家具類はすべて片付けられており、代わりに設置されているのは茶室の様子をあらゆる角度から映し出す夥しい数の監視モニター、そしていかにも作戦司令官が使用しそうなトランシーバーにヘッドセット、ついでに牛乳とあんパン。あえて光量を落とした間接照明が緊迫した重苦しい空気感を演出し、その中をスーツ姿の男達がバタバタと慌ただしく走っている(雰囲気を盛り上げるため彼等には本日限定で着ぐるみではなくスーツの着用を依頼した)。つまりどういうことかというと、刑事ドラマの見過ぎだろうと誰もがツッコミたくなるくらいに“らしすぎる”本格的な張り込みセットがそこには用意されていた。
     ちなみに家政婦さんに頼み込んで、本日だけは鳳家内土足オーケーの許可も事前に得ている。こんなに本格的なセットを準備したのに、それを使うのがスリッパスーツの男達では格好がつかないだろうというのが慶介の考えだ。ど真面目な現実主義者に見えて意外とロマンチストでノリも良いのが鳳家長男なのである。ついでに言うと、それにちゃっかり乗っかって意気揚々と新品のスーツおよびお気に入りの革靴を着用してきた次男もなかなかにノリノリだ。結局のところ鳳一族はなんだかんだで楽しい夢を見るのが大好きかつ大得意な人間達なのである。

    「は、まさかあいつらへのドッキリにここまで用意するとはな……兄貴、これ結構金かかったろ」
    「案ずるな。個人的な資産ももちろん使ったが、それ以上にとある筋から潤沢な資金提供を受けている」
    「とある筋だと? ……っ、まさか」
    「察しはついたようだな。そう、元々この企画は父さんの発案なんだ」
    「くそっそういうことかよ……」

     ちっと舌打ちする(小芝居)晶介に、慶介は無言でスッとココアシガレット(小道具)を差し出す。二人でココアシガレットを咥え一服する兄弟は、なんというか控えめに言ってめちゃくちゃテンションぶち上げ状態だ。年下の女兄弟……つまりひなたやえむの前では格好をつけている彼等だが、男というのはいつまで経っても男の子なのである。とはいえ今回のドッキリは別に娯楽目的で開催しているわけではない。

    「……鳳は良くも悪くも有名だからな。特にえむは狙われやすいうえ、いつ誰が襲撃をかけてくるともわからない。今は学校やフェニックスワンダーランドといった比較的セキュリティレベルの高い場所にいるから問題は起きていないが、宣伝大使として各地を飛び回るとなればそうもいかないだろう? ボディーガードを兼ねて着ぐるみの彼も同行させるが、彼一人で守れる範囲にも限界がある」
    「それであいつらを試すってわけか」
    「そういうことだ。危機的な状況に追い込まれた彼等がどのような行動に出るか……。さすがに一般の高校生相手にえむを守りきれだなんて無茶な要求はできないが、パニックにならず冷静な思考ができるか、自身達の命を最大限大事に守れるような行動を取れるか、それを見ることで彼等にえむを任せて本当に問題ないのかをジャッジする。ついでに……」
    「ついでになんだ?」
    「あの中にえむの恋人がいるか調べてこいというのがボスのご依頼だ」
    「父さん……」
    「言ってくれるな。年頃の娘を持つ父親として心配なのだろう」

     やれやれと肩をすくめて兄弟は苦笑しあう。妹の恋人調査をするなど少々無粋で気がひけるが、それとなく探るくらいならまだ許されるだろう。

    「今回のドッキリの目的……つまり、危機的状況下での彼等の思考行動調査及びえむの恋人調査については仕掛け人にも既に伝達済みだ」
    「仕掛け人?」
    「あぁ。紹介しよう、今回ワンダーランズ×ショウタイムドッキリ大作戦において凶悪犯役を演じて下さるハンさんだ」
    「ハンです、本日はよろしくお願いします」

     慶介が示した先で、強面のいかにも強そうな外国人風の男が立ち上がる。筋骨隆々かつ屈強なその姿に反し、流暢な日本語で礼儀正しくお辞儀をしてみせる様子がいかにもミスマッチだった。

    「ハンさんは悪役を専門として活動する俳優さんでな。長らく外国で活動していたのだが、結婚を機に日本へ移住するとの事で先日フェニックスワンダーランドのキャストとして採用したばかりだ」
    「ハニーが日本人なんです。日本に来たのは三日前ですが日本語には自信ありますよ! ついでに日本語が話せない風の演技も得意です!」

     にこやかに話すハンと握手を交わしながら晶介はなるほどと内心納得する。えむはフェニックスワンダーランド内のキャストほぼ全員の顔と名前を知っている。だから彼等を仕掛け人として下手に起用すれば瞬時にドッキリとバレる危険性が高いのだ。その点、悪役専門俳優かつ日本に来たばかりだというハン氏は今回の役に非常に適任といえた。

    「ではハンさん、早速で悪いのですがそろそろ現場への移動をお願いします」
    「わかりました!」
    「晶介、私たちもスタンバイしよう」

     おもちゃのアサルトライフルを肩にかけ(さすが悪役専門俳優、とても格好良く決まっている)ハンが部屋を出ていく。残された慶介と晶介は茶室を監視するモニターの前に並んで座り、ヘッドセットを装着して茶室内の様子をモニターし始めるのであった。
     モニター画面の中ではワンダーランズ×ショウタイムの面々がなにやらわちゃわちゃと楽しげにしている。どうやら茶室の調度品を検分をしながら無駄話に興じているところのようだった。

    ---------------

    『えへへ懐かしいなぁ、あたしね昔ここの壺でよく魔女っ子ごっことかしてたんだよ〜』
    『こんな高そうなしかも和風の壺でか?!?!』
    『うわ、なにこれ。この掛軸も花瓶も美術の教科書で似たようなの見たことある気がする……なんかすごく高そうっていうか……』
    『そうだね。僕はこういった類の美術品にはあまり詳しくないのだけど、どれもかなり貴重なものに見えるよ。残念だな、ネネロボがいれば鑑定機能でより詳細な価値を調べられたんだけど……』

    ---------------

    「あいつら相変わらずうるせぇな。兄貴、もう少しモニター音量下げようぜ」
    「そうだな。しかし晶介の作戦がうまくいってよかった。ネネロボさんは無事に警備室で預かれたそうだぞ」
    「あの多機能ロボットは厄介だからな、ドッキリの前にあいつらから切り離す必要があるだろ。そうじゃなきゃドッキリが成り立たない」
    「神代くんの技術力は目を見張るものがあるからな」
    「それと、あいつらにホンモノを見分ける目がなくてよかったぜ。レプリカの美術品に隠しカメラを仕掛けるってアイデア、なかなかにいいだろ?」
    「ああ、いくら超小型カメラとはいえ、間近で調べられたり触られたりしたらバレてしまうからな。彼等が高級品だと誤解して自ら近寄らないでいてくれればこちらとしても助かるのだが……」

    ---------------

    『大丈夫だよ司くん寧々ちゃん! ここにあるのは高くないのばっかりだからうっかり壊しちゃっても平気だよ〜!』
    『……あ、うん。ありがとえむ、気をつけるね』
    『……懸命な判断だと思うぞ、寧々』
    『ほぇ?』
    『フフ、興味深いね。この襖絵なんて初期琳派の表現手法が用いられているじゃないか。この色はどうやって出しているのかな。趣がありつつ鮮やかで光沢もあるからステージ映えしそうだ。何を染料に使用しているのか少し分析を……』
    『『類!!!!』』

    ---------------

    「……やはりえむにはレプリカだとバレていたか」
    「くそっ……おい、お前ら、えむの言葉を信じるなよ? 高級品だと思っとけよ? そうじゃねぇとカメラがバレる!!」
    「む、まずいかもしれないぞ晶介。先程から神代くんがこちらをジッと見ている」
    「まさか襖に仕掛けたカメラに気付いたのか?! 手までのばしてきて……くっ、ドッキリはまだ始まってすらいないんだぞっ……!!」
    「お、天馬くんと草薙さんが止めたようだ。ギリギリセーフだったな」

    ---------------

    ザ、ザザザ……

    『……オレはまだ……落ちたくない……』
    『……司くんは僕を見捨てず……嬉しい……』

    ---------------

    「おや、音声が乱れているようだ。先程天馬くんたちが神代くんを止めた衝撃で、襖内に仕掛けた音声送受信器の周波数調整ツマミがずれてしまったかな」
    「これ復旧できんのか?」
    「ああ、こちら側の機器で周波数を合わせられればまた問題なく聞けるはずだ。着ぐる……ではなかった、スーツさん、お願いできますか?」
    「かしこまりました。既に作業中ですので、もう少々お待ち下さい」
    「助かります。ドッキリはまだ始まっていないですし急がなくても大丈夫ですよ」
    「暇だしあんパンでも食うか」

    ---------------

    ザザザザザ……

    『さぁ類! ……』
    『そんな……僕はそんな真似……』
    『……全部見せてもらうぞ……』

    ---------------

    「ん? 待て、ちょ、なんだこいつら何してやがる」
    「天馬くんが神代くんにのしかかって服を脱がせ始めたな……」
    「はぁ?!?! おいどういう状況だよこれ!!」
    「途切れ途切れにしか聞こえないが、映像から判断するに天馬くんが神代くん服の中に手を入れているとしか……なにか、こう、まさぐる感じで……」
    「…………。悪い!! 音声の復旧やっぱり急いでくれ!!」
    「かしこまりました!」
    「晶介見ろ、天馬くんがついに神代くんのパンツにまで手を掛けたぞ。神代くんも暴れてはいるがどこか嬉しそうというか……」
    「おいおいおいおい、あいつらそういう関係なのか? というか他人家(よそさま)の茶室で何おっぱじめようとしてんだよ、えむ達だって目の前にいんだろうが!!」

    ---------------

    ザザッ……ザッザッ……

    『……いいなぁ〜! あたしも、みんなと二人みたいな関係になりたいなぁ』
    『別に、もうほとんど……毎日こんなに……恥ずかしい姿だって……たくさん見せあってるんだから……』
    『! えへへ、寧々ちゃんだいすきっ!』

    ---------------

    「「えむ?!?!」」
    「ど、どういうことだ……えむはあの三人全員と服を脱がせてまさぐりあうような関係になりたいっていうのか……?」
    「いや、それより草薙さんの“毎日恥ずかしい姿をたくさん見せあってる”という発言が気がかりなんだが……」
    「?! ま、まさか奴等、既に一線を……?! しかも毎日……?!?!」
    「いや、まだわからないぞ。草薙さんはすごく照れくさそうに笑っているが、でもまだわからないはずだ……」
    「そ、そうだな兄貴。もしかしたら俺達は何かとんでもなく重要な音声を聞き逃してるのかもしれねぇし」
    「あぁそうだ。あのえむがまさか……なぁ?」
    「はは……まさか。だってあのえむだぞ?」
    「…………」
    「…………」
    「……えむの恋人調査、少し気合いを入れてやるか」
    「……賛成だ」
    「周波数合わせられました! 音声正常に戻ります!」
    「「でかしたスーツさん!!」」

    ---------------

    「わぁ〜なにこれすっごくおもしろそ〜! 類くん類くんこの黒いボールはなぁに?」
    「えむくん、よくぞ聞いてくれたね。それはイカ墨を濃縮して少々の火薬とブレンドした特製カプセルでね、対象に投げつける事で小規模爆発を発生させ半径2m範囲を真っ黒に染め上げることができるんだ。ま、軽い目潰しのようなものかな」
    「すごいすごーい!! じゃあじゃあ類くんこっちは?!」
    「フフ、このコントローラーはもっと面白いよ。神代家の屋根上に待機させている特殊ドローンとGPS連動で繋がっていてね、スイッチを入れるとすぐにコントローラーの位置を特定してドローンが駆けつけるんだ。さらにこの画面で座標指定をすれば……」
    「すれば?」
    「ピンポイントで雷を落とせる」
    「わんだほーーーい!!」
    「「二つとも没収!!!!」」

    ---------------

    「ん? 先程の怪しげな空気が跡形もなく消えているな……」
    「どういうことだ……ってあいつ! あのアイテム達どこから取り出したんだ?! 入口で厳重に持ち物検査をしたっつーのに!!」
    「手作りの護身グッズのようだがこれは……」
    「あぁ、やべぇな兄貴」
    「半径2m規模の目潰し……しかもイカ墨という落としにくく独特の臭いを放つ染料を使うことで、犯人が逃げた場合も警察犬を使った追跡がしやすいように工夫しているのだろう。雷装置の方は、上空からピンポイントで遠隔実行できる強力スタンガンと考えればその汎用性の高さがうかがえるな」
    「イカ墨ボールの方に爆薬を混ぜたのは、室内で凶悪犯に遭遇した場合に備えてだろう。屋根か窓を爆発で吹っ飛ばせれば、雷起動ドローンが室内に侵入できる。つまりあの護身グッズは二つ揃うことでより効果的に使える仕組みになっているわけか」
    「素晴らしい。実に合理的な発明だ」
    「あいつ、マジで何でワンダーステージの演出家なんてやってんだよ……もうノーベル賞とか獲りにいけよ……」
    「ふふ、たしかにな。だがそれが彼の夢なんだろう」
    「わーかってるよ、ちょっと言ってみただけだろ。それに今更えむ達の演出家を降りられても困る」
    「そうだな」

    ---------------

    『えむくんの家はなかなかに有名だし、いつ国内外の凄腕凶悪犯に襲われるかわからないだろう?』
    『『え……』』
    『ほぇ……?!』
    『鳳家の中でえむくんは最年少でしかも小柄な体型だからね。身代金目当てに誘拐する場合、最も狙われやすい存在だと思う。実際もし僕が犯罪者の立場なら、まず確実に人質にはえむくんを選ぶだろうね。さらに言えば、えむくんに近しい場所にいる僕達へも危害が及ぶ可能性だって否定できない。僕達の命や安全を担保にされれば、えむくんの性格的にどんな凶悪犯へも従ってしまうことは誰の目にも明らかだ』

    ---------------

    「まさか神代くんがここまで考えていたとは……。これはドッキリを仕掛けるまでもなかっただろうか」
    「つーか、えむまで何で驚いてんだ。もうちょい自分の立場ってもんを自覚しろよ」

    ---------------

    『だからネネロボには不審者警戒モードに加え、人質救出モード、凶悪犯殲滅モード、その他必要と思われる機能を随時追加しているんだ。それと並行して今回のようにネネロボが機能できない状況下に追い込まれた場合に備えて護身グッズの開発もしているというわけさ。今はまだグリズリー程度までしか対応できない出力なんだけど、いずれは小型恐竜を安全に倒せるレベルの完成度を目指しているよ。大切な仲間を万が一にも危険になんて晒すわけにはいかないからね』

    ---------------

    「…………」
    「…………」
    「……ネネロボさんを引き離しておいて正解だったな」
    「そんなことより兄貴、今すぐドッキリ中止しようぜ。このままだとハンさんが危ねぇ」
    「そうだな、早速トランシーバーで連絡を……」

    ---------------

    『僕を信じてくれて嬉しいよ』
    『何を言ってるんだ! 類の言葉ならオレは絶対信じるに決まっているだろう!!』
    『司くんっ……! 僕も……僕も司くんの言葉はきっと信じるよ!!』
    『類!!!!』
    「司くん!!!!』
    『わぁ〜〜〜パチパチパチ〜〜〜』
    『…………なにこれ』
    『……とまぁこの話はこのへんにしておいて』
    『む、類。せっかく良い雰囲気だったのにもう止めてしまうのか?』
    『フフ、それは非常に魅力的なお誘いだけどまた今度時間のある時にじっくりお願いしようかな。そろそろ慶介さんや晶介さんとの約束の時間だから僕らもお利口さんで待つべきかと思ってね』

    ---------------

    「?! お、おい兄貴、また突然あいつらイチャつきだしたぞ?!」
    「あ、あぁ……しかし何故急に良い雰囲気になったんだ……? 若い子の感覚はよくわからないな……」
    「やっぱりあいつらそういう関係なのか……?」
    「む、神代くんが抱きしめるのをやめた途端に天馬くんがしょんぼりし始めたな……」
    「おいやめろよ、お前いつもあんなうるさいくせにそんな子犬みたいな顔すんなよ上目遣いで見んなよそれから公衆の面前で誘うなよ!!」
    「近頃の若い子は積極的なんだな……」
    「…………ん? というかそろそろ約束の時間……って兄貴やべーぞ! 早くハンさんにドッキリ中止の連絡しねーとじきに突入時間だ!! ハンさんがあいつの護身グッズの餌食にされちまう!!」
    「っ! 連絡を急ごう」

    ---------------

    『フフ、例えだよ例え。いくら防犯対策が大事とはいえ、ここはセキュリティのしっかりした鳳家だしそんなこと起こらないに決まってるだろう』
    『それもそうだな。さすがにこの茶室の外にえむを狙った凶悪犯がいるなんてありえんだろう、ハーッハッハッハ!』

    ---------------

    「兄貴、まだハンさんに連絡はつかないのか?! あいつら盛大にフラグ立てまくってんぞ」
    「今やっているんだが一度周波数がおかしくなった影響かなかなか繋がらないんだ」
    「だめだ!! ハンさんが茶室に入っちまう!!」

    ---------------

    ガラッ

    『手ヲ上ゲロ!!!! 命ガ惜シケレバ、大人シク鳳えむヲ渡セ!!!!』
    『っ……逃げろ!!!!』

    ---------------

    「「逃げてくれハンさん!!!!」」

     その瞬間、鳳家ゲストルーム……もとい、作戦指令本部に兄弟の悲痛な叫びが響き渡った。

     悪夢のような土曜日の始まりであった。




    つづく!!

    お気付きの方がいらっしゃるか不明ですが、支部に投稿したカサスの続編というか亜種というかのすれ違いコメディです。書き終わったら支部に投稿したい……。最近仕事忙しいのと大スランプとで自信なくしまくりなので、もしよければスタンプなど何か反応頂けますと元気が出ます……😭
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