ミスチレ短文 言葉は信用ならない。
強い魔法使いと結婚して、強い魔法使いを産むといった女は結局、弱い人間の男と結婚した。子供も産んだ。
そしてもうとっくに死んだらしい。
ミスラも知らないうちに。
「チレッタが亡くなったそうじゃ」
「……はあ」
なぜ俺に言ってくるのか、わからなかった。そのまま疑問を口にすれば、よくわからない表情をしていた。
何と言えばよかったのか、何を期待されていたのかわからなかったが、どうでもよさそうだと忘れることにした。
年中、吹雪いているような土地だ。
湖も凍って仕方ない気がするのに、なぜか水のままでいる。
ミスラは舟を出すでもなく、渡し場でぼんやりしていた。
時おり、女の声がする気がして振り返り、雪だけが目に入って息を吐いた。
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