創作くんの中で眉美ちゃんが特別になるまでの話(創眉)
※蜥蜴ネタバレ注意
- - - - - - - - - -
彼女の第一印象はただの暗い少女。けれど、瞬く星を宿したその瞳は綺麗だと思った。
実際は暗いどころかかなりの捻くれ者だったが、夢を失うことになった彼女には未来の自分が重なり星空を描いた。
叶わぬ夢を持つ気持ちは知っていたから。
せめて好きだった気持ちまでも失わないように。
まあ正直彼女は捻くれ者どころかただのクズであったのでそんな気遣いは必要なかったかもしれないと度々思うことになるのだが、天井を見上げる彼女の瞳は綺麗だったので良しとしよう。
それに彼女はクズでも素体としては優秀だった。磨けば輝く石。拙いながらも自身でも自分を磨く石。まあ悪くないと思った。
きっと磨き続ければ星のように輝くこともできるであろう。そう思った。
だから彼女の輝きが脳裏に焼き付いて離れない。
孤島で埋没し暗闇の奥底で自分の価値すら見失う中、差し込んだ光。
それは自身に向けられた視線。ずっと向けられてきた視線。
『天才児くんは私の中で一番の芸術家だもの』
そう伝えてくれる視線。
バッと上げた視線の先は眩しいくらいに星が輝いていた。
それはあまりにも美しくて自身のとんだ勘違いに気付いた。
彼女は自身で輝ける星だったのだ。
きっと一目見た瞬間から自身はその輝きに魅入られていたのだ。そしてもっと輝くところを見てみたい。そう思っていだのだ。
けれど、見たかったのはこんな輝きではない。
だってこれは、
こんなものは、
『星の最期の輝き』じゃないか。
溢れ出しそうな気持ちを押し込め駆け出す。
息が切れる。
心臓がどくどくとうるさく張り裂けそうだ。
辿り着いた先で倒れる彼女が視界に入った瞬間、ヒュッと息が止まった。
なぜ、どうしてそこまでしてくれたのか。
いつも口から零れない言葉が、声が、込み上げて溢れそうそうだった。
こんな大事に一人で飛び込んでくるなんて本当にどうしていつも無茶苦茶なことばかりするのか。
瞳を失えば何も見えない。星だって見えなくなってしまうというのに。
自身たちの為に全てを投げ打つなんて。お前はそんな聖女みたいなキャラじゃないだろう。
失ってから大事なものに気付くなんて言葉が頭をよぎるが、ふざけるな。
全てを投げ打ってくれた彼女の為に自身の全てを捧げてでも彼女を救う。
子供に何が出来ると大人は笑う。
子供の中でも自身は烏合の中の一人なんてことはもうよく分かっている。
けれど彼女にとっての自身は『天才児』だ。
必要なものは全て創ってみせる。
だって俺は彼女の中で1番の芸術家なのだから。
- - - - - - - - - -
そして蜥蜴の最早眉美ちゃんを崇拝しそうなくらいに変貌した創作と化す創眉。
自分たちのせいでと創作くんは責任を感じたりしそうだけれど、眉美ちゃんは後悔なんて微塵もなくて『最後に見たのが5つの美しい星なんて最高じゃない!』ときっと笑う。