.「俺は良い人間じゃねぇからよ」
そう言いながら、まるでタバコの吸い殻みたいに踵でターゲットをすり潰す。その行為を悪いともなんとも思ってたいないってことは表情でよくわかる。
「……つってもまぁ、今更か？　こんなタイミングでそんなこと言い出すお前もお前だ」
そう、私だって同じ。ホルマジオに腕を捕まれた彼が縋るような目で私を見たのを無視した。人を殺す仕事をしておいて良い人間なわけがない。お互い様だ。
見つけたターゲットをどう嬲り殺してやろうか、絶望する表情を見てひどく楽しそうにする顔を見て良い人間だなんて考えるはずもない。
けれど私は、そんなホルマジオを見てふと気がついたのだ。あ、私ホルマジオのこと好きだな、って。あんまりにも唐突だったからちょっと面白くて笑った。縮んでいくターゲットの腹に刺さったナイフはホルマジオが持っているからサイズが変わらなくて、どんどん傷口は広がっていく。血液は溢れ出すし悲鳴もあがる。それを笑うホルマジオに、「ねえ、私ホルマジオのこと好き」って言ってみた。