一般人とは住み分け大事だよねそれはとんでも無い血鬼術だった。鬼の首は斬り落としたものの、その異常なまでの執念で消え失せる間際に放たれたそれは、不死川の脳におびただしい量の知識を流し込んだ。思考の目まぐるしさに頭を抱えて蹲る。不死川はある一つの言葉が気になって仕方がなかった。
「さねぎゆ」
その言葉と共に頭の中に現れては消える見たことも聞いたこともない文書や絵、それらは全て己が嫌いだと公言している冨岡とのものだった。あの澄ました顔で人を見下した様な発言をするいけ好かない男は、その作の中では不死川に好意があり可愛らしく頬を染めたり泣いたり笑ったり表情がとても豊かだ。
挙げ句本当は言葉足らずで消極的で末っ子気質だと言う。にわかには信じられないそれらは、しかしこれまでの冨岡の言動を思えばストンと納得のいくものだった。ではここ最近冨岡がおはぎを持ってしつこく追いかけ回して来るのは馬鹿にしている訳では無く、本当に己との仲を良くするためだと言うのか?
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