彗星になったカイブツ第0話
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深い森の中を俺は無我夢中で駆けていた。全身に切り刻まれた傷の痛みと火傷、口から出てきそうな胃酸と血、休みたいと悲鳴を上げる身体。それらに思考が向かないように走り抜けた。呼吸をするたびに焼け焦げる匂いが俺の鼻を刺激し、気持ち悪くなる。連中は本気で俺を殺す気で来たのだろう。でなければ山一つ丸ごと焼く気はない。しかし、今はそんな些細なことを気にしている場合ではない。逃げ続けろ、生きるために。
どれだけの時間が経ったのだろう、俺は警戒しながら近くにあった大木に崩れるように寄りかかった。空が明るくなりかけている、日の出が近いのだろう。体が思い出したように激しい痛みが襲い、俺はうめき声をあげてうずくまる。少し血を流しすぎたか、、、喉の渇きとめまいで意識が遠くなりかけるが首を振って持ち直す。
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