ans18ed☆quiet followDONEフォロワーさんにお借りしたネタで書かせていただきました。・モブに一杯盛られる茨の話です(体調不良)・モブ×3くらいの存在・モブは喋る場面転換ガンガンしていますが視点は最後だけ日和です フロアじゅう真っ暗なのに、茨のデスクだけが無機質に光っている。だからなのか、青白い光に照らされる茨の顔は倒れる前の比じゃないくらい悪く見えた。「まだやってたんすか」 どうしても今日中に済ませたい用事があったから、誰もいないのを承知で事務所まで足を伸ばした。鍵をもらおうとしたらまだ茨が中にいるって聞いて、そこで漠然と思いだしたのだ。 茨の取ってきたEdenの仕事。オレ自身も私生活で幾度となくお世話になってるような大企業とのコラボで、茨も費用対効果がどうとか言いながら張り切っているのだが――まあ、簡単に言うと、先方に嫌われたらしい。というか、見た限りでは嫉妬に近いと思う。会議のごとに資料を全部作らせて、かと思えばよくわからない理由でイチから作り直させて。会議中には「どう考えても今じゃないだろ」みたいなダメ出しをしてくる。そのくせ事務所やユニット、茨宛てにしょっちゅう菓子の類が送られたりして、感想を言うためだとかでいちいち食べている茨はもう寧日を失って久しかった。「1週間後の会議に使う資料で、氏からダメ出しを受けまして」「またこじつけみたいなやつです?色味がどうとか」「3枚目と5枚目の改行の位置が気に入らず、くわえて全体的に誠意を感じない、とのことで作り直しを要求されましたな」「ヤバ」 呆れてものも言えない。肩を竦めた茨が、やれやれと言いたげに頭を振った。利益があるからと割り切っているのか反駁しない茨にもイライラする。…いや、もどかしいのかもしれない。最近珍しく疲労の片鱗をみせる茨をオレたちが気にかけているのも、きっと気付いているはずなのに。「フォントが読みづらいとのことで却下された初期のスタイルを転用しましたが、どうやらお気づきではなさそうですね」・・・ 番組で用意されたサーモンのキッシュ。おひいさんの好みに合わせたそれはまだ温かくて、卵の味がしっかりしていて、たしかに旨かった。「うん、おいしいね!」 なんて、昼飯を抑えるほど楽しみにしてたのをオレは知ってる。食リポはおひいさんがほぼ一人でこなしてしまったから、他の三人は一言ずつ感想を言えば済むはずだった。問題はカメラの抜かれ方。MCに「そんなに食べていいの」と言われるほどの速さで皿を空にしたおひいさんの隣で、齧るみたいな調子でちまちまと食べ進めるだけの茨は明らかに悪い目立ち方をしていた。 無理に食べさせるのもどうかと思うけど、だからってこのままだとネットで騒がれそう。茨、そう声をかけようとした瞬間、茨の口から小さく「ぁ」と声が洩れた。右手の皿が傾いて、白い手からフォークが滑り落ちる。「茨、ぼくのおすすめだね!」 左隣から茨に飛びついたおひいさんが、茨の手をフォークごと掬った。皿を支える茨の手を包み込むように補助して、一口ぶんのキッシュが茨の口の中に吸い込まれる。わっ、と声を上げてたたらを踏んだ茨が、机の縁を掴んで転倒だか失神だかを免れた。 ここ最近茨の体調が思わしくないのはメンバーみんな知っている。それなのに茨が敢えて抜かれやすい所に陣取ったのは、正直言ってオレらも意外でしかなかったんだけど。たぶん、立ちくらみでもしてたんだと思う。この前の収録中も似たようなことがあったから。 お得意の口八丁で感想を述べた茨の額に光る場違いな汗と、それを見つめるおひいさんの表向きはつらつとした笑顔。やっぱり今の茨はおかしい。ナギ先輩の瞳が一瞬鋭さを増して茨を見つめていた。・・・ 会議室入りは、やっぱり茨が一番だったらしい。扉を開いてまず目に入ったのはパソコン前に屈む茨だったけれど、一瞬後には目が合った。先に座っていたナギ先輩と、数人集まっていた先方の社員さんに挨拶をしてから下座に腰を下ろす。机上に広げられた資料と、暴力的な部屋の明るさに溶け込んでしまうスライド。作ったのはぜんぶ茨だろうってことしかわからない。一体何度やり直したんだろうか。指定時間ギリギリで滑り込んだおひいさんの手元にお茶の湯気が立って、社員さんが退出するのと同時に会議が始まった。 出されたお茶を啜って、普段より少しゆっくりと立ち上がった茨が資料の説明に入る。よくできた資料だと思うけど、なんか違和感があった。なんだろう、いつもと違うこと。資料のスタイル?茨が心配だから?茨の―――そうだ、茨の声だ。覇気とか、勢いが足りない。絶対にこれで通してやろうっていう気概。 ちらりと見上げれば、茨がちょっとだけ眉根を寄せた。眠れてないんじゃないかと問い詰めたのは一昨日のことだから、少しはまともに睡眠をとってくれたかと思ったのに。そういえば茨はそんな素直な奴じゃなかった。あんまり見ていると机の下で蹴られるから、紙に目を落とす。「4番をご覧ください、詳しい場所ですが、早朝…ですので、駅前の歩道からでも問題はない、と…」 落としたばかりの目を、また上げてしまった。いつもはあんなにスムーズな説明があまりにも途切れるから。言葉が浮かばないだけならまだいいんだけど、茨の顔は血の気が失せたように真っ青で、頭はぐらぐらと揺れていた。やべぇ、と直感する。座った方がいいんじゃないか。椅子を引いてやろうと落とした視線の先で、茨の足が二歩ばかり後ろにずれた。「いばら、おい、」 どれだけの人がオレたちを見ているのかわからないけど、なんとなく人目をはばかって小声で呼びかける。オレに目を合わせようとする首にまったく力が入ってなかったから、倒れるのかと思った。眠そう、じゃなくて、焦点が合ってないみたいな目。「ジュ、ン…?」 オレすら見えてなかった。その実感より先に、茨の身体が降ってきた。抱きとめた拍子に椅子からずり落ちそうになって、耳元に茨の浅い呼吸がかかる。冷たい。腕がだらりと落ちるから、本当に死んじまったんじゃないかとすら思った。鬱陶しい髪を手で分けて、意識を確かめようと頬を叩く。眠ってでもいるように閉じられて動かない目は、きっと開いたところで輪郭すら映しはしないのだ。「ちょっと、おい、茨っ! 聞こえます?いばら!」「ジュンくん、いったん床に寝かせてあげて」 いつの間に席を立っていたのか、おひいさんにそう言われるまで自分が冷静なつもりになっていた。言われた通りに床に下ろしたら、おひいさんが床に膝をついて脱力しきった茨の腕をとる。脈をとってるみたいだった。この貴族さまがねぇ、なんて思ったのは、少し冷静になった証拠だ。「……医務室だね。この件については茨が凪砂くんに構想を共有しているはずだし、会議は進めても問題ないと思うけど。どうかね?」「……私、聞いてる。必要な情報は思い出せるよ。だから、大丈夫」 先方のお偉いさん――直接的じゃなくても、茨をこうした張本人が、心配そうな顔にふわりとアンバランスな笑みを浮かべる。「私も構わないですよ。七種さんにはお大事に、とお伝えください」 鶴の一声だった。 たかだか1㎝ごときの身長差なんて無いも同然だ。しかも意識の無い茨を運搬するのは並大抵のことじゃなくて、どうにかこうにか背負って会議室を出たら偶然通りかかった社員の方に手伝ってもらうことになった。ストレッチャー持ってくればよかったですね、って医務室に着いてから言われてしまって、とんでもないです助かりましたと頭を下げる。軽く笑って「お大事に」だけ残して消えてしまった。めちゃくちゃいい人だった。「上が71。こりゃ倒れるね」「そんな、ヤバいんすか」「簡単に言うと100以下が低血圧みたいなものだから、稀に見る低血圧。貧血……ではなさそうだし、体質なんじゃないかな」 体質。告げられた言葉を口の中で反芻してみる。全然思い当たることが無かった。泊まりの時だって一番朝が早いのは茨だ。「ちょっと寝てれば大丈夫だから、戻ったら?」「………はい。七種、お願いします」 はーい、と手をひらひらと振られる。どうしたって後ろ髪を引かれるけれど、大したことがないのは本当らしかった。来た道を戻って、会議室の扉を開ける。どうだった?と向こうさんに聞かれて、聞いてきたばかりのことを返した。「ご心配おかけしてすみません」 いやよかった、という安堵の声を聞いたおひいさんが片眉を上げたのは少し気になる。それでも既に会議は始まっていて、まるで自分が作ったかのようなテンポの良さで進むナギ先輩の解説をまとめて頭に叩き込んだ。・・・「おひいさん、早く行きましょう」「あ、ぼく先に用事だけ済ませちゃうから、凪砂くんと先に行ってあげてね」「えぇ」「そんなに心配してくれなくても大丈夫だね!すぐに行くからね!」 いや別にあんたのことは心配してませんけど、ってぶつぶつ言うジュンくんの背中を押して、凪砂くんが会議室を出て行った。一瞬だけぼくと目を合わせて少しだけ眉を下げるから、やっぱりきみは分かってるんだね、って誇らしいような、悔しいような気持ちになってしまう。そそくさと出て行こうとする取引先の担当に「話したいことがある」と告げて引きとめたら、他の社員さんたちはすぐに部屋を後にしてくれた。「放蕩息子とはいえぼくだって社会人だから、必要な時はちゃんと敬語を使うようにしてるんだけどね。ぼく、どうしても今は敬語を使う気になれないね」「…そうですか」「っていうか、使いたくない相手に敬語を使うのってぼくだけが体力を消費しててなんだか嫌だよね!それに、茨が頑張ってくれた分、ぼくがどんなに礼を失してもきみより無礼にはならないよね!」「……もちろん、そのくらいのことで目くじらを立てたりはしませんよ」 対角線上、それも出口に近い椅子に座られたから、ぼくはわざわざその正面に移動してあげた。ぼくが本気だって今頃わかったのか、顔色が変わって喉が鳴る。彼は長期戦を覚悟したのかもしれないけれど、ぼくがそれに付き合ってあげる理由はない。「そう?茨の仕事にはずいぶんと狭量な文句をつけてたみたいだけどね。 ぼくも早く茨の所に行ってあげたいから単刀直入に言うけど、きみ、茨のお茶に何か入れたよね?」「…はい?」「そういうのってあんまり多いとイライラしちゃうんだよね!ここと関係を持ったあたりから茨の調子が崩れてきて、しかも一向に快方に向かわないから調べたけど。きみがずうっと茨に少しずつ送りつけてたお菓子、あれから降圧剤の成分が出たんだよね。事務所宛てのお菓子、あれはフェイクだろう?」 視線がぼくと机の間を漂う。もはや言葉は何もなかった。『はい』か『いいえ』で答えられる質問しかしてないんだからはやく答えてくれないと、ぼくはジュンくんに嘘をついたことになってしまう。「あはは、もったいぶる必要はないね!手口も意図も犯人も、動機だって分かってるようなものだからね。たとえば茨の仕事はいつも速くて、精確で、頭は回るし、いろんな肩書を思うままにしていて、妬ましかった、羨ましかった―――とか。 だんまりは何も生み出さないね?」「………仰るとおりです」「なにが?」「すべて」 顔が完全に伏せられた。これ以上、ここにいる意味はない。「そう。じゃあ、ぼくは行くね」「あの、今回のお話は――」「それはわからないね、Edenのプロデューサーはぼくじゃなくて茨だから。この会話は録音してあるし、それを聞いてからみんなで判断させてもらうね」 医務室に駆け込んだとき、茨はまだぐったりとベッドで横になっていた。ジュンくんが「何してたんですか!」って怒りながら茨の真横を譲ってくれる。「ごめんね、茨。……ちょっとだけ、ぼくが遅かったね」「ちょっとだけって何すかあ!」 怒るジュンくんがぼくをぐいぐい引っ張って、譲ってもらったばかりの場所はそのままジュンくんの場所に変わってしまった。すかさず凪砂くんが場所を空けてくれて、ここでいいよと首を振る。一度目を覚ましたんだと思う、寝ているだけらしい茨の髪を柔らかく指で梳いてあげると、やっぱりぼくがもっと早く止めてあげられたらよかったのにって思ってしまった。振り返っても変わらない過去を必要以上に気にすることはないけれど、止められたはずのいくつもの瞬間が次々と脳内に浮かぶのは、まだすこし止められそうになかった。Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! 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