朝焼け、しじま。「迅さんはさ、おれのことどう思ってるの?」
赤い瞳がそう問いかけてきたのは、朝焼けに染まる玉狛支部の屋上でのことだ。
階段室の屋根の上に座った少年は、扉を抜けて現れた迅の姿を見ると、小首を傾げてそう言った。
そんな遊真の問いに、目を瞬かせる。
「どうした、急に」
「チョット気になりまして」
眠る必要のない身体の後輩は、夜から朝にかけてをこの屋上で過ごすことが多い。前にその理由を聞いたときは、視界を遮ることなく周囲が見渡せる場所の方が好きなのだと言っていた。それ以来、迅は頻繁に彼の様子を見に屋上に足を向けていたのだ。
月の眩しい空の下。星のきらめく深い夜。そして、世界が目覚める朝焼けの中。
そうした行動に、もしかしたら、気を使っているのかと思われているのかもしれない。
1601