0.5章「俺、医師団を抜けてここに残ろうと思うんだ。」
カウンター席に座り、ティファの瞳の色のような深い赤色のカクテルの入ったグラスを右手でクルクルとまわしながらケルタは言う。
その言葉を横耳に聞いたティファは他の客の料理を作りながら微かに笑う。
ケルタがこの街に来て半年と少し。
流行していた感染症も収束。
ケルタはその功績が認められ、来季から晴れて「お医者さん」になるのだ。
それを機に医師団は次の戦場、カームへ向かう予定となっているがミッドガルのスラムには感染症以外にも問題はある。
上から流れてくる汚染水や大気汚染などにより引き起こされる健康被害だ。
簡易診療所にくる患者の症状の殆どがこの公害が原因であり、子供の姿も多く見られる事にケルタは心を痛めている。
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