酒飲んでる時のコイツは嫌いだ。本当に嫌いだ。とにかくめんどくさい。
質問しろって言うから日頃から思ってたことを聞いてみただけなのに、マジで重くてクソだるい答えがズルズルと返ってくる。
分かるような分からないような…そんな話。普通につまらんと思う。
あー、聞かなきゃよかった。やっぱコイツめんどくせぇ……
そう思ってたら口に出てた。
「まぁ烏丸には分かんないからいいや」
「おい」
別にまるっきり分からないわけじゃねぇし…。たしかにコイツの言う通り、良い子で生きてりゃ無難な人生送れるかもしれない。
けど、結局コイツも自分勝手というか……勝手に決めつけて、勝手に苦しんでる気がする。そんな生き方しかできなくしてるのは紛れもないコイツ自身だ。
俺は自我をなくすことが大事だと思わないし、それを望んでねぇ大人だっていっぱいいるだろ。なんでそれが分かんねぇのかなコイツは。
何よりそんな風に生きてたら本当に本当のコイツ自身を見て好きになってくれる奴がいなくなる…………のは、まぁ別に良いか。
でもこんだけうだうだ言ってるんだったらコイツも本当はこれじゃダメだって心のどっかで思ってんのかもしれない。それは俺にもわからないしどうしようもないから口出しはしないが……。
「俺のこと変人扱いするけど烏丸だって嫌いな人間と何年も一緒にいるし変。大学だって違うところ行って連絡取らなきゃこうはなってないのに」
……は?何言ってんだコイツ…てか飲み過ぎだろ…人ん家で…。何?なんだなんだ、今度は俺への愚痴か?
俺はイラッときて思わず飲みかけの缶を握りつぶしてしまった。
「なんだよお前…じゃあ俺に「もう会わない」って言ってほしいのか?」
「別にそんなこと言ってるわけじゃ…」
俺は言いかけてる悪魔の腕を引っ張ってこっちを向かせた。衝撃でアルコール瓶が倒れて床にこぼれた。…あー最悪だ。もう全部ぶつけてやる。
「お前だってこんだけ俺と居れば分かるだろ。俺がお前と居たいから居るんじゃねぇかよ。俺も素直じゃないけどお前もほんと大概。めんどくさい。そんなに俺に構ってほしい?「お前のこと好きだから一緒にいたい」って言ってほしいのか?適当なこと言って気引くのやめろよ。勝手に自虐してんの見ててムカつく」
…全部言ってやった。絶対コイツだって分かってるはずだ。思ってもないこと言ったんだろうどうせ。そうじゃなくて本気であんなこと思ってるんだとしたらマジで相当なバカだ。
…でもやっぱ俺もバカだな。普通に「お前と一緒にいたいから居るだけ」って優しく言えば良かったのかもしれない。でも……
あー分かんねー。もう嫌だ。だからコイツにあんまり酒飲ませたくねぇのに…!!!