「バラム。服を脱いでくれないか?」
「……はあ!? 何言ってんのオマエ!?」
腹の底から声が出たせいで、上半身すべてに激痛が走った。悟られないよう一瞬よりも短いあいだで取り繕ったつもりだが、近頃やけに勘のいい王様は、きつく眉をしかめて、もう一度はっきりと「服を脱いでくれ」と繰り返した。もはや問いかけですらないし、「バカ言ってんじゃねーよ」って茶化せる空気でもない。つーか、なんでオマエの方が痛そうな顔してんだよ。
「……一応聞いとくが、これ、イポスたちにもやったんだよな?」
「ああ」
ブネは見たらわかるからそのまま、イポスには裸になってもらったよ。と淡々とジャラジャラ王は続けた。
居合わせたかったな、その場に。イポスのやつはどんなリアクションをしたんだろうか。ヴィータとしても、メギドとしての人生を換算したらもっと、自分よりずっと若く未成熟な男にひん剥かれるのは一体どんな気持ちだっただろうか。それとも、アイツなら二つ返事で脱ぐのかな。どうあれ、外野から見ているぶんには愉快だっただろう。
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