こたつ外は雪がちらつき、炬燵に入っていても肌寒く感じる室内。
ルフィはそれまで頑張っていた宿題に飽きてしまったのか、天板に顔をつけ横で同じようにノートにペンを走らせるサボの顔をじっと見ている。
サボもその視線には気づいているが、敢えて触れずノートと参考書に視線を巡らせていたが、耐えきれずにペンを置きユックリとルフィの方へ視線を向ける。
視線が合った瞬間にサボの視界が光に包まれ、呆然と視線と動きが止まってしまう。
「ん?サボ?どした?なんかぼーっとしたてねェか?」
天板に頬をつけたままルフィがサボに声をかけ、数秒後
「すまねぇ、ちょっとぼーっとした」
そう口にしながら、まだサボの視線はルフィの顔をぼんやりと見つめている。
サボの瞳に映るルフィは、頬を赤く染め唇も艷やかに輝きいつもとは違う表情をうかべていた。
「ずっと炬燵に入ってるから、頭がぼーっとしてんじゃねェか?おれみたいにちょっと顔冷やしてみれば?冷たくてきもちぃーぞ」
ルフィに誘われるまま天板に頬を付けてみると、確かに冷たくて気持ちいい。
「本当だ、気持ちいいな……」
天板に顔を付けることで、互いの顔が微妙に近くなりサボの胸がざわざわと騒ぎだす。
ルフィは何が楽しいのか、ニコニコと笑い炬燵から出していた手のひらをサボの頬にのせる。
「冷たい……ルフィ身体冷えてるじゃねぇか」
「ん?手はちょっと冷えてるけど、そんなに寒くねェぞ」
もぞもぞとお尻を動かし、座る位置を変えたルフィは炬燵の中で胡座を組むサボの脚に、自身の脚を伸ばす。
「足はあったけぇんだ、手はずっと外だったしな」
にししと笑いながらも脚クセ悪くずっとサボの脚を触り続ける。
「……ルフィ……お前宿題は?」
「あきた」
「飽きたっておまえ……あとどれくらい残ってんだ?」
「もう少しかな?……でも分からなかっ…………」
ノートも見ずに答えるルフィの口元からサボは視線を外す事が出来ない。
天板に頬をつけることで頬の肉が唇の形を歪ませ、そこから溢れ出すルフィの言葉がサボの思考を暖かく包み込む。
誘われるように少しずつ少しずつ近づく互いの唇、そこに自分の唇を重ねればどれだけ柔らかく甘いかを知っているサボ。
ルフィもサボの行動を静止するでもなく、そのまま受け入れようと静かに待つ。
ガチャ
「………お前ら盛るなら他所でやってくれ……」
お茶を取りに行っていたエースが戻り、その場に漂っていた空気が一気に変わる。
「わぁー」
ルフィは慌て、サボはエースに「戻ってくるのが遅いんだよ」と文句をつけている。
飽きたと言っていたルフィも宿題を終え、エースとサボが食事を作るために部屋を出ていく。
「顔あちい……」
耳の奥に残る甘いささやき声を思い出し、火照る頬を自身の掌で冷やすけれど、ルフィの熱は当分冷めそうになかった。
「ルフィ……後で俺の部屋においで、さっきの続きをしよう……」