Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    流浪 @阿七おいしい

    遙か7阿国さん激推しの阿七狂い。
    阿国さんが幸せなLOVE&ピースな世界が好きです。

    漫画と小説で一応世界線分けてますが、基本イチャイチャしてます。
    小説の方が真面目(?)な阿七です。

    *エアスケブ始めてみました。

    Pixiv -> (https://www.pixiv.net/users/6550170)
    *主にまとめ、長めの小説に使ってます。

    ( ・∇・)くスタンプありがとうございます!毎回嬉しくとても励みになっております!

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 307

    遙か7 阿七√ED後で中秋の名月SS(遅刻)

    あのベタ過ぎる夏目漱石の有名な文句を、こちらもベタに我が家の阿七風に調理してみました。

    2021.9.22

    満ちる心は月のように「月が綺麗だね」
    「…死んでもいいです」
     月光に誘われるように、手を繋いで夜の散歩に出た道中、見上げた中秋の夜空に浮かんだ満月が本当に綺麗だったから、ふと呟いた阿国の言葉に、しかし隣から脈略もなくいきなりひどく不穏な言葉が返って来たから、阿国は心底驚いて夜空から視線を断ち切ると隣を振り向いた。
    「えっ?どうしてそうなるの」
     思わず上擦る声に、七緒はなぜか予想通り、という風にくすくすと笑った。
    「死なないで欲しいですか?」
    「あ、当たり前だろう…!なんだっていきなりそんなっ…縁起でもないこと…。君らしくもない」
    「そうですよね。でも、告白にはこう返すのが嗜みなんだそうです」
    「告白?さっきから一体なんのことを…」
     益々もって不可解に、御国は怪訝として首を傾げる。七緒は考えるように頬に指を当てた。
    「〝月が綺麗ですね〟──この文句、私たちの世界では〝あなたを愛しています〟って意味になるんです」
    「え…」
    「有名な先生の逸話なんですけど、それに対する肯定の返事が〝死んでもいいわ〟なんです。…だから」
     そう言って、七緒はちらりと阿国を見返してくる。その頬は月光のお陰で、微かに染まっているのが宵闇でも窺える。阿国もじわりと頬に熱が集まるのを感じる。
    「そ、そう…なんだ…」
     気恥ずかしさに顔を逸らす。
     阿国と七緒はいわゆる恋仲だ。だから先ほどのものが彼女の言う通りの意味をもって成された会話だったとしても、そこには何の問題も相違も生じない。だが、こちらが知っているのといないのとでは大きく意味合いが異なった。
    「でも…死んでもいい、なんて物騒なこと、大切な相手に言われたら私なら辛くて堪らない」
    「そうですね…。私たちには似合いませんよね」
     七緒は一息吐いて、繋いだ手を大きく揺らす。
    「じゃあ〝一緒に掴みにいきましょう〟──これで、どうですか?」
     こちらを窺うように可愛らしく小首を傾げる姿に、阿国はつい微笑がこぼれる。
    「君らしい」
     望月かくや──阿国の胸は嬉しさに満たされていく。貪欲にどこまでも一緒に未来を目指してくれる、そんな彼女の存在が有り難く、そして愛おしくて仕方がなかった。
    「でも、私は言葉だけは飾らないよ。いつでも私のありのままを、そのまま君に伝えたいから。──愛している、七緒」
     見つめた瞳は丸く、光を弾いて淡く輝く。頭上の月を落とし込んだようなそれはやがて、近付く影に覆われるように形を細めていった。しかし二人が新月を迎えてなお不安がないのは、唇から感じる互いの温もりのお陰だ。
     阿国は繋いだ手に力を込める。
     これからも共に生きる──。月に託すのは、そんな明るい誓いで良い。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    k_ikemori

    DONE遙か7_長七未満。花吐き病にかかった長政様。あのお口からゲホゲホ花を吐いてもらいたかったんや…ケホリ、
    ここの所、喉の奥に何か引っかかるような感覚を感じていて長政は喉に手を当ててさすると柳眉を顰める。
    戦国の世に戻り次第、薬湯を煎じるように申し付けようと決め、長政は目の前のコップへと手を伸ばす。そこから香る芳しい匂いを肺一杯に堪能し、喉の奥へと流し込んだ。
    各々が好きに過ごす束の間の安寧の場。
    ここは令和の世の天野家。そして手の中には龍神の神子手ずから入れてもらったコーヒーがある。
    長政がこれを気に入っていることを知った七緒がこの家に来るたびに、気遣うように入れてくれるこのコーヒーの芳しさと甘さに顔の強張りが緩む。
    (フン、らしくもない)
    そう思いながらコーヒーを一口喉の奥に流し込むと同時に再び、ケホリと咳が出た。
    「…まったく」
    「長政さん?」
    ちょうどリビングへ現れた七緒が長政が零した呟きと咳に反応するように小首を傾げて声を掛けてきた。
    「今、咳してたようですけど風邪ですか?」
    「心配性だな、神子殿は。なに、少々違和感がするだけだ」
    くつくつと笑い長政は尊大に手を振る。
    その様子に納得のいかないように怪訝な眼差しで覗ってくる七緒は、でもと食い下がる。
    「風邪を侮ってはいけま 1692

    k_ikemori

    DONE天文台で毎夜星を眺めてる長政さん超エモいなと思って荒ぶったけど自分で書くとそうでもないなと冷静になった…この冬の時期に七緒が出勤して初めに行うことは、分厚い上着を掴み取る事から始まる。
    裏口から入るのでそこからは望遠鏡が置いている部屋と、望遠鏡の前に陣取る人影がきっといるのだろうが、生憎とここからは見えない。
    小部屋にはそれほど大きくはない机と仮眠が出来るようベッドが置いてあり、部屋の隅にミニキッチンが付いている。凍えそうな夜はそこでコーヒーかホットココアを入れて寒空の下、それを飲みながら観測する事が至福のひと時である。
    小部屋に入って、壁に掛けてある上着が自分の物とは別にもう一つ残っていることに気付いて七緒はキュッと柳眉を寄せた。
    「…もう」
    手早く自分の上着を着込み、もう一つの上着を腕に抱くと七緒は小部屋を後にした。
    ある程度厚着をしているだろうが、分厚い防寒着があると無しでは雲泥の差だと七緒は思っている。
    小部屋のドアを閉めるとシンと静まりかえったこの場所によく響く。
    七緒が出勤した際にドアを開け閉めした音に気付かぬ人ではないのだが、放っておくと明るくなるまで望遠鏡の下から動かないような人だということを思い出す。
    ゆっくりと望遠鏡の下まで辿り着き、七緒が傍まで来たのに微動だにしない 3117