朝のゲームセンター 思い出す ミルク 僕たちの足元に伸びる光は柔らかく色づいた白で、僕はミルク味のキャンディを思い出した。雨彦さんが覗き込んでいるその機械はUFOのような形をしている。透明な丸いドームの中で色とりどりのお菓子がゆっくりと回っていた。まだ街は目を覚ましていない。朝の眠たげな光の中で鮮やかなその色は目に眩しい。
「幼き日、銀の硬貨を夢に換えー。懐かしいねー」
「そうだな。……いや、俺は初めてかもしれないな」
意外だとは思わなかった。ゲームセンターにいる雨彦さんはどうにもうまく想像ができない。軽やかすぎる音も、点滅する強い光も、ケースに詰め込まれたぬいぐるみたちも、雨彦さんには似合わない。このゲームセンターにはそのどれもがなかった。聞こえるのは目の前の機械が立てる微かな駆動音だけで、光はガラスの向こうから差し込む朝日だけで、ここで手に入れられるものは、どうやらこの中にあるお菓子だけのようだった。
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