今日のダンスレッスンは一段とハードだった。息が整わなくて、立っているのがやっとな始末。コーチの先生が帰ったのを見送ると、気が抜けたのか僕はその場にずるずると蹲ってしまう。
「想楽!大丈夫ですか」
「うん…なんとかー…」
「水分補給しな。水はあるかい?」
「あー…さっき飲みきっちゃったー…」
「私が買ってきます。雨彦、想楽を頼みますね」
クリスさんはレッスン室の外の自販機へと向かった。ぐったり座り込んだ僕の横で、雨彦さんが書類を挟んでいたファイルを扇いで風を送ってくれる。生ぬるい風はあまり汗を引かせてはくれなかった。
「…これでも、体力ついてきたと、思ってたんだけどなー…」
「安心しな。今日のは俺でもきつかった。ついてこれるなら大したもんさ」
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