覆水不返久しぶりに来たあいつからの連絡は、簡素な一枚の招待状だった。
そこには乱馬と、許嫁であるあかねさんが結婚をするということが記されていて、こんなの誰だって予測できた未来だというのにおれは思わず「え?」と声をもらしてしまった。
その瞬間、走馬灯のように脳裏をよぎるのは10代のおれたちが過ごした日々。
一番最初に、そして多く思い返したのが、早乙女乱馬の顔だ。
競い合うようにパンを奪い合ったあの日。追いかけて中国に渡っては呪泉郷に落ちて子豚になったあの日。ライバルであり、恋敵で……あいつに振り回されてきた人生だった。
そうだ。おれはあいつに、振り回されていた。
ただのライバルだったはずなのに、身体を重ねたときがある。
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