酔っ払いと関わるとろくな事にならない。「公子殿…退いてくれないか。」
重い。
酒の匂いを漂わせながら ただいまぁ〜 と間延びした声で部屋へ入ってきて、そのままソファに横たわる俺の上に倒れ込んできた。
自分もそれなりに鍛えてはいるが、
彼も立派な体躯を持つ武人だ。
上に乗っかられたままでは動きづらい。
胸元で頭をぐりぐりするものだから、
ふわふわの髪が鼻に触れて擽ったいし、
読んでいた本の内容も、文字をなぞるだけで頭に入ってこない。
「公子殿……重い」
「んー?」
もはや手に持っているだけとなった本を閉じて
サイドテーブルにひょいと乗せる。
ふわふわの髪に さく と指を通すと
にへへ と無邪気に笑ったその顔が 年相応…というよりも幼く見えた。
ニコニコと人懐っこい笑みを向けられて、
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