かはたれの 彼は誰時、薪と青木は鈴木の墓を訪れた。新品の雑巾を持ち込んだ青木が手早く墓石を拭いてくれた。
こういう時、デカくて手足の長い奴は妙に便利だな。薪はぼんやり思った。
青木とここに来るのは2度目だ。
前回同様、薪の方が緊張している。青木は薪より一歩下がって、静かに目を閉じて鈴木に手を合わせてくれている。
生きている間の鈴木に、薪は自分の想いを伝えたことはない。
それが何故、今の薪は青木をここに連れて来たのか。
むしろそれこそが、薪の鈴木への気持ちを現している。
鈴木が好きだった。
こんな形で、18の頃からの長い片想いを鈴木に打ち明けてしまうことになった。
前回来た時もそうだったが、恥ずかし過ぎる。
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