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    soresunawatishi

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    soresunawatishi

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    ぬーーーーーんタイトル難民

    「ねえ、誰にも見つからないようにここを出ない?」

    すでに繋がれた手を少し急かすように引っ張り、外へ出る。兄弟やらが見えなくなったところでソロモンは足を止めこちらを振り向いた。

    「所謂、デートのお誘いっていうやつなんだけど、どう?」

    ここまで来て何を言うか。最初から拒否なんてできないようにして、ここまで引っ張ってきたくせに。''デートのお誘い''だということを強調して、いつもの笑みを浮かべるソロモン。この誘いを受けていいものか、後で兄弟たちに何を言われるか、あれこれ考えていると、ソロモンは見透かしたように言った。

    「あぁ、あの兄弟たちね。後で俺から説明するから安心して。」
    またにこっと笑うソロモンに少し不信感を抱きながらもついて行くことにした。


    「魔界の空は綺麗だと思うかい?」

    歩いていると突然、ソロモンがそんなことを言い始めた。この質問をこのまま受け取ってもいいものだろうか、なにか意図がある?そう思いながら返答に困っているとソロモンが続ける。

    「そんな悩まなくていいよ。これは雑談だよ。」

    兄弟から、さらにはバルバトスからもソロモンには気をつけるように言われているのである。私は無難に、だけどありのままに、魔界には魔界の良さがあると答えた。答えにはなっていな気がしたが、ソロモンはふうん、と頷く。

    「君は素直じゃないなあ。」

    ソロモンが覗き込むようにして私の目を捕えた。私は目を離せないでいた。

    「ねえ、人間界が恋しくないの?」

    二人の間を風が通る。その拍子に髪の毛が舞い上がり、私の顔を隠した。風が味方をしてくれたようで少し考える時間をくれたらしい。人間界が恋しくないのか、本当のことを思うと少し恋しいのかもしれない。でも、もし帰ったら?今の皆がいる生活は戻ってこないしソロモンにだって会えないかもしれない。
    風が収まったところで、ソロモンが私の髪を梳かすようにさらりと耳にかけた。

    「俺はね、例え君が人間界に帰っても、世界中どこにいたって君を見つけて迎えに行くよ。魔界にいたいなら俺も魔界に飛び込むし天界に行きたいなら俺も行く。俺はそれが出来るんだよ。」

    先程までのにこりとした愛想の良い表情から一変、真剣に見つめられ初めて感情が見えた気がした。ポーカーフェイスで、本心がわかりにくいソロモンが確かにその欲を表に出した瞬間だった。

    「俺は本気だよ。覚えておいてね。」

    じゃあ行こうか、と私を連れ出したように手を繋ぐ。でも今度は引っ張られるだけじゃない。少しの想いへの応えを含めるように、繋がれた手をそっと握り返した。
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