月の猫には敵わないガーランド家は猫好きとして有名だ。
飼い始めたのはオルテガやセイアッドがまだ幼い頃。庭で親に見捨てられた真っ黒な黒猫をオルテガとセイアッドが見つけて拾った事がきっかけである。
あれ以来、ガーランド家にはいつも猫がいる。
初めに拾われた黒い猫は雌で後に「ノーチェ」という名を貰って大きくなってからは番犬ならぬ番猫としてガーランド家の庭を守ってきた。
時には侵入してきた者をズタズタに引っ掻いたいう彼女もすっかり年老いて艶やかだった黒い毛並みは荒れ気味で白い物が混じっている。日当たりの良い窓辺で微睡む事が増えたノーチェの代わりに庭や屋敷を守っているのは彼女が産んだ三匹の子供達と更にその子供だ。
彼等は時にパトロールしながらもそれぞれ思い思いのところで気ままにすごしているらしい。
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