ムーン・リバー、揺れてよ 不可侵である。
川面に映る月のように、正しくこの手に掴むことはできない。望むことですら罪深く、畏れ多い。
何億光年先、途方もなく遥か彼方に立つはずの貴方。あの最期の瞬間、綺羅星が瞬くそのほんの一瞬だけ、貴方が見せたやわらかな微笑。ともに並んで見上げた荘厳な星空。高潔な貴方がこの手の内に降りてきて、ほんの少し通じ合えたような気がしたのだ。
確証はない。こんなものはただの感覚で、独り善がりに救いを求めた心がそう感じさせただけかもしれない。
たった一瞬の煌めき。そのあとのことはもう何もわからない。
唯一わかることと言えば、いつの日からか貴方を焦がれてやまない俺は、きっとそれだけでもう地獄の門の前に立つ罪人であったのだろう、ということだけである。
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