秘密の答え、獠香、はぐらかす、確認、心臓がうるさい 昼下がり。窓から差し込む陽気が眠気を誘うから、そのまま愛読書を腹に乗せたままソファーで寝転んでいた。
心地いい風が頬を撫でる。ふわりと、いつもの柔軟剤の香りがする。そういえば、さっき香が洗濯物を干していたはずだ。
ソファーの横で気配が止まる。どうせ香だろうと、そのまま心地いい微睡に身を委ねていた。すると、唇に柔らかいものが触れた。それはすぐに離れて気配ごとリビングを出ていった。
気配が離れていくのを確認してから、瞼を開けた。リビングの天井を見たまま、今自分の身に起きたことを思い出す。
香が寝ている自分にキスをした。
まさか、あの香が、だ。つい数日前、何とか説得をしてやっとハンマーを出さずに唇に触れられるようになったばかりだ。もっこりまでの道のりは遠い。と思っていたはずが、香から歩み寄ろうとしてくれるとは。キスのひとつにあんなに真っ赤になって震えていたのに。
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