僕の居場所「ねェ、ヒロくんの生まれたところってどんなところなのォ?」
藍良が目の前におかれたホットココアを冷ましながら言う。ふと窓の外に目をやると、ちらほらと雪が降っている。寒くて赤い鼻と、ふーふーとカップに息を吹きかけるその姿を、僕の目はいつもよりも幼く映し出す。
「お待たせいたしました」
店員が僕の目の前に真っ白なティーカップをコトンとおく。ホットレモンティーからほのかに香るレモンとアールグレイが心地良い。
「僕の故郷?」
藍良が僕の故郷の話を聞きたがるなんて珍しい。いつも僕に対して蛮族だとか野蛮人だとかそういうことを言っているから、故郷のことはよく思っていないだろうし、そんなに興味がないのだろうと思っていたけれど。
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