SS真ん中バースデー記念「再会」
左京さんの本業の都合で劇団からいなくなって、数度の季節がめぐった。
俺は買い出しやストリートACTとかで街に出る度、あの人を探す癖がついてしまっていた。
(危険な目にあってませんように…)
そう祈る日々が続いていた。
左京さんと俺は所謂、恋人という関係だ。
告白したのは俺からで、受け入れてもらえるまでには色々あったけど、今はいい関係を築けていると思う。
本業の都合で1度劇団を離れるとなった時は何も言わずに決めてしまった左京さんに苛立って大喧嘩をしたけれど、今となっては仕方ないことだったんだと思っている。
(あれ、この香りは…)
ふと考えに沈みこんでいた俺の鼻腔をくすぐる匂い。
買い出しの帰り道で
顔をあげた先に見えたのは橙色の花を咲かせたキンモクセイだった。
「そうか、もうそんな時期なんだな」
あの人が出ていったのは冬の寒さが残る頃だった。
寂しい。会いたい。
胸の中で湧き出てくきた気持ち。
どうしようもないのは分かっているし、
こちらから連絡しないというのは彼が離れる前に決めた約束事の1つだった。
「あれ、寮の前に誰か……っ」
もうすぐ寮に着くという頃合い。
寮の前に人影があった。
あのシルエット、間違いない!
「左京さん、会いたかった…!」
俺は手から落ちる荷物も気にとめず、その場を駆け出して彼の人を強く抱きしめた。
「ただいま、伏見。……俺も、会いたかった」