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    o_yu__kko5

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    まだ暑いので間に合います ナイトプールに行くびびばす(彰杏、冬こは)
    三人称視点の(っぽい)序章的なものがあった後に彰杏、冬こはの順にお話を載せています。彰杏冬こはは続いていないので両方、もしくはお好きな方をどうぞ。

    「こはね〜っ!こはねの水着もうすんごい可愛い!天使!私が男だったら絶対こはねのことロックオンしてる!」
    「ひゃあ!く、苦しいよ杏ちゃん〜…!」
    「俺も同じ気持ちだ、白石」
    「何言ってんだお前ら…」
    ここ、都内にある某ホテルの最上階に位置するナイトプールに、水着を着た男女が2組。広いプールの水面は辺りをぎらぎらと照らす紫や青のネオンの光で輝き、自撮り棒を持つ女性グループやわいわいと騒ぐ男性グループ、プールの端でくっついているカップルなど、昼間のプールとはまた少し違った光景がそこには広がっていた。

    ナイトプール、行ってみたいんだよね。そう最初に言い出したのは杏で。夜だし日焼けの心配もないし面白そうだしとぺらぺら理由を連ねた杏は案の定、こはねをナイトプールに誘った。実は私も気になってたんだ、と杏からの誘いを笑顔で了承したこはねは、ちらと彰人と冬弥のほうを見る。
    「よかったら2人も一緒に行かない?」
    ナイトプール、その言葉を聞いてから彰人の脳内を延々と回っていたのは“ナンパ”の3文字。ナイトプールにはナンパを目的に来ている輩もいる、と小耳に挟んだ記憶があった。しつこいタイプの男がいると面倒だ。一方冬弥も、彰人と同じことを考えていた。
    「…行く」
    「行こう」
    「えへへ、ありがとう。大学生になってからこうしてみんなで遊ぶ機会もほとんどなかったから、楽しみだな」
    「確かにそうかもね。私も楽しみ!ねえこはね、今度一緒に水着買いに行こ!」
    「うん!」

    「…で、どうすんだ?」
    「どうしよっか」
    「考えてねえのかよ…」
    「…あ、じゃあ一旦私と青柳くん、杏ちゃんと東雲くんで分かれて、またあとで合流して4人で遊ぶのはどう?4人で来たからずっと4人で遊ぶのもいいけど、…」
    そこまで言ったこはねは黙り込み、恥ずかしそうにもじもじし始める。するとそんなこはねを見て察したのか、杏がふわりと笑った。
    「2人でも遊びたいってことだよね?いいよ!こはねほんとに冬弥のこと大好きだね!いいな〜冬弥、こはねにいっぱい愛されて!」
    「…有難いことにな」
    「いいなってなんだよ」
    「じゃあ…そういうことで、2人とも、またあとでね!」
    「はーい!」
    杏とこはねが互いに手を振り合い、2組の男女はナイトプールの入口で別れるのだった。

    *****

    彰杏

    「ナイトプールってあったかいんだね」
    「…そうだな、まあ夜ちょっと寒いし」
    プールサイドに腰掛け、ぬるい水をぱしゃぱしゃと蹴りながら彰人と話をする。
    「…すごいね、ライトが水に浮いてる。あ!彰人見て、ハート型の浮き輪あるよ!」
    そう言った私はぼちゃん、と体をプールへ沈め、数メートル先に浮いていたピンクのハート型の浮き輪を掴み、彰人の元へと戻る。彼はプールの奥を見つめていて、その方向へ振り向くと、楽しそうにはしゃぐ女の人たちがいた。
    「…あの女の人たち見てるの?」
    「は?ちげーよ馬鹿」
    「え?じゃああの男の人たち?」
    彰人が見ていた方向には、その女の人たちの他にお酒を片手に盛り上がる男の人の集団がいる。
    「…まあ」
    「へえ、でも男友達と来るのも面白そうだよね」
    「………」
    「彰人?」
    何故か、彰人の表情がどんどん険しいものへと変わっていく。
    「…こっち来い」
    「え、!?」
    ざぷん、と彰人がプールに入ったのと同時に腕をぐいと引っ張られ、そのまま私は人の少ないプールの端へと連れてこられる。腕を引っ張られた拍子に、せっかく掴んだ浮き輪は手から離れてしまった。
    「な、なに、ってちょ、距離近いって…っ」
    肩を引き寄せられ、体どうしがとん、とぶつかる。彰人の息遣いが聞こえるくらいの距離。
    「…見てる」
    「見てる、?」
    「……あいつら、お前のことずっと見てる」
    「あいつらって、あの男の人たちのこと…?」
    「見なくていいから」
    その男の人たちのいるほうを見ようと顔をそちらへ向けた瞬間、頬に手を添えられ無理矢理彰人のほうを向かされた。
    「…クソ、まだ見てやがる」
    「………」
    「杏、」

    「…悪い」

    「へ、んう…っ!」
    戸惑う私の唇を、彰人が乱暴に塞ぐ。ちゅ、ちゅ、と止まることなく降ってくるキスを受け止めることで頭がいっぱいになって、うまく息ができない。
    「あきと…っまって、なに、して、」
    「…見せつけてんだよ」
    「みせつけって、っ!?」
    突如つう、と背中を指でなぞられ、ぴくりと体が跳ねる。
    「っねえ、あそんでるでしょ、!」
    「…半分。……いなくなったな」
    「っ、ほんと、?はぁ、もう…っ」
    彰人の胸に寄りかかり、乱れた息を整える。男の人たちは、確かにいなくなっていた。
    「はあ、いきなり何されるかと思ってびっくりしちゃったけど…ありがと。彰人いなかったらやばかったかも」
    「周りちゃんと見とけ。…お前、知らないだけで意外と狙われてるからな」
    「うそ!き、気をつけるようにする…」
    「ん」

    ほんとはキスする前からいなかった、って言ったら、コイツどんな顔すんだろな。



    *****

    冬こは

    杏ちゃんたちと別れてすぐ、私は青柳くんと手を繋いでライトアップされたプールサイドを歩く。するとその少し奥にある建物に、人が群がっているのが見えた。その建物から出てくる人は皆、ハイビスカスで飾られたカラフルな飲み物を持っている、どうやら飲食店みたいだ。
    「青柳くん、」「小豆沢」
    お互いを呼ぶ声が重なり、私は思わずふふ、と笑いを漏らしてしまう。それは青柳くんも同じだったようで、彼も小さく笑いを漏らしていた。
    「どうしたの?青柳くん」
    「小豆沢こそ、どうした?」
    「……ふふ、あのね。あそこのお店で飲み物買わない?カラフルで美味しそうだなあって思って」
    「!…俺も同じことを思っていた」
    「ほんと…!?えへへ、嬉しい。じゃあ、早速行こっか」

    「あ、これ全部お酒なんだね」
    「みたいだな」
    店の前に出ている看板を、2人で一緒に眺める。
    「…小豆沢、どうする?酒は…」
    「あ…」
    数ヶ月前、20歳になったばかりの頃にライブの打ち上げで初めてお酒を飲んだ。しかし私はそこでジョッキ一杯分のチューハイを飲んだだけでよろよろになってしまうくらいにお酒に弱いことが分かり、そこからあまり多くの量のお酒を飲んでいないのだ。
    見た感じ、容器の中には一缶分ほどの量のお酒が入っている。このあと帰るだけならまだ問題ないかもしれないが、4人で遊ぶことを考えると、まずいかもしれない。
    「…青柳くんの、一口だけもらってもいいかな」
    「その方がよさそうだな。…すぐ戻る、小豆沢はここで待っていてくれ。ナンパだけは…気をつけてくれ」
    そう言い残し、青柳くんはお店の中へと消えていってしまう。店の中にはそれなりに人がいる、少なくとも10分はかかりそうだ。
    「…綺麗だなあ」
    水面に浮かぶライトを眺めながら、ふとそんな言葉が口から零れる。…あ、あれ杏ちゃんと東雲くんかな。杏ちゃん、楽しそう。
    「ねえ」
    「へっ?」
    突然声をかけられ、声のするほうへ振り返る。するとそこには同い年くらいの二人の男の人がいた。
    「今一人?一緒に遊ばない?」
    「…!」
    ナンパだ。生まれて初めてナンパされた私の中には、恐怖や焦りよりも先に、ナンパする人なんて本当にいるんだ、という気持ちのほうが大きかった。
    「ごめんなさい、待ってる人がいるんです」
    「その人が戻ってくるまででいいからさ!遊ぼうよ!」
    「すぐ戻ってくるのでっ、きゃっ!?」
    そう言い返したとき、突然一人の男の人に左手を掴まれる。
    「…ね、いいじゃん」
    「いや…っ、やめてください…!」
    「小豆沢!」
    どうしたら、そう思った瞬間、後ろから私が今一番聞きたかった声が聞こえた。
    「…気安く触るな」
    「んだよ彼氏持ちかよ」
    「次行こうぜー」
    青柳くんが現れるなり、嫌そうに眉をひそめた男の人たちはばっと私の腕を離して、違うところへ行ってしまう。
    「…大丈夫か?」
    「…あおやぎくん、ごめんなさい、…気をつけてって、言ってくれたのに」
    「俺の方こそすまない、一緒に行けばよかった。…しつこいのもいるんだな」
    「ね、…あ、これにしたんだ。綺麗なピンク色…」
    青柳くんが買ってきたのは、綺麗な桃色をしたお酒が入ったドリンクだった。匂いからして桃だろうか。
    「先に飲むか?」
    「いいの?じゃあお言葉に甘えて、いただきます」
    ドリンクが入った容器を両手で持って、ちゅうとストローを吸う。口の中で炭酸が弾けるのと同時に、甘い桃の味が口いっぱいに広がる。
    「あ、青柳くん、あそこのテーブル空いてるよ」
    「本当だな。誰かに座られてしまう前に行こう」
    「うん、っわ!」
    左手をぎゅっと掴まれ、するりと指を絡められる。
    「これ飲んだら、杏ちゃんたちと合流だね」
    「そうだな」
    顔を合わせて笑いあった私たちは、ネオンに照らされたプールサイドをゆっくり歩き出すのだった。
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