人間には男と女という性別の他に、ダイナミクスという力関係が存在するらしい。
それは本能的なもので、強者であれば弱者を保護し、弱者であれば強者に全てを託し、互いに尽くすというもの。
それに名前がついたのは俺が生きた時代よりも遥か先の時代でのことだそうだが、いざ思い返せば生前にも「そういえば……」となるようなことは多々あった。それは家族間のことであったり、使用人のことであったり、聖仙やらバラモンやらのことであったり――とにかく様々だ。
だからまあ、サーヴァント――正確に言うとちょっと違うが――になった後、死後になって自分にもそのダイナミクスとやらが存在すると言われ、驚きはしたものの少し腑に落ちたのも確かなのである。
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