渡り廊下にて 飛行術の授業の帰り。微かに汗ばんだ肌に運動着が吸い付く。それを少し煩わしく思いながら校舎へ戻る。背後から、さも親しげなふりをして話しかけてくる同級生には無視を決め込んで、次の授業は何だったかと思いを巡らせていると、聞き飽きたほどに聞き慣れた声が降ってきた。
「ジャミル~!」
わざわざ誰何も、方向も探る必要も無く、頭上を向くと、満面の笑みを浮かべた銀髪が手を振っていた。渡り廊下から身を半分乗り出している。
「カリム」
「飛行術の授業だったのか?俺はさっきまで魔法史の授業でさぁ!」
相手は、ジャミルが言ってたところが授業に出てた、など気楽な事を言って、あっけらかんと笑っている。それに深々と溜め息を吐き、半眼を送った。
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