夕暮れピアノとおいかけっこ♪
ふと耳に入ったメロディに聞き覚えがあり僕は思わず窓から外を眺めた。
今日はショーの練習も休みで、放課後までゆっくりできると思い朝からずっと小道具の設計図を書いていた。いつの間にか放課後になっていたらしい。
周りには僕以外誰もいなかった。だからこそ耳に入ったのだろう。
「この曲は」
そう。未だ聞こえてくる曲は僕にとってとても大切な曲で何度も聞いたものだった。
けど何故だろう。
僕は設計書を書く手を止め、音楽室へ向かった。
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ドアから中を覗くと、想定通りの先客がこちらに背を向けてピアノを弾いていた。
ドアとは逆側のグラウンドが見える窓から夕日が差し込まれている。窓側に位置するピアノは夕日に照らされ、奏者共々真っ赤に染まっていた。
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