「さすがにこれだけ人が多いと暑いな」
そう言って司は暑さで汗ばんだ首筋をパタパタと手で仰いだ。
日が暮れたとはいえ、夏の真っ最中、それも夏祭りの人混みに加えて通気性としてはだいぶイマイチな浴衣を着ている司とえむは暑い暑いと言いながら、半袖のTシャツと短パンを着て涼し気な格好の寧々の持っている手持ち扇風機にまとわりついた。
「ちょっと、あんまり近寄らないでよ。暑い」
「ふふ、そんなに暑いならかき氷でも買ってこようか?」
同じく浴衣ではなく、普通に私服で来た類が遠くの方にかき氷屋の屋台を見つけて指さす。
「そうだな、アタシも行こう。えむ、寧々何がいい?」
「私イチゴ味がいい!!」
「私ブルーハワイ」
「いちごとブルーハワイだな。わかった。ここで待っていてくれ」
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